東洋経済:日本の半導体産業復活への道筋と課題
日本の半導体産業復活への道筋と課題 (07.07.2026)

日本の半導体産業が再び世界の舞台で存在感を示そうとしている。政府は巨額の補助金を投入し、次世代半導体の国産化を目指すラピダス社を支援するなど、官民一体での取り組みが加速している。しかし、過去の失敗から学び、持続可能な産業エコシステムを構築するには、多くの課題が残されている。

政府の支援策とラピダス計画

経済産業省は、半導体分野の国内投資を促進するため、2021年度補正予算で約1.4兆円の基金を設立。この中で、ラピダス社には最大700億円の補助金が交付されることが決定した。ラピダスは、2027年までに2ナノメートル世代の最先端半導体の量産を目指しており、北海道千歳市に工場を建設中だ。

また、TSMCの熊本工場への支援や、キオクシアとウエスタンデジタルによる三重県四日市工場の拡張など、既存企業の投資も活発化している。政府はこれらの取り組みを通じて、半導体の安定供給確保と産業競争力強化を図る。

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人材不足という深刻な課題

半導体産業の復活には、高度な技術を持つ人材の確保が不可欠だが、日本は深刻な不足に直面している。半導体業界のエンジニアは、2019年時点で約30万人と推計されるが、今後10年間で約3万人が不足するとの試算もある。

特に、設計や製造プロセス開発などの先端分野では、経験豊富な人材の獲得競争が激化している。ラピダス社も、国内外から優秀なエンジニアを集めるための採用活動を強化しているが、簡単には解決しない問題だ。

過去の失敗からの教訓

日本はかつて世界の半導体市場を席巻したが、1990年代以降、韓国や台湾の台頭により競争力を失った。その原因として、以下の点が指摘されている。

  • 垂直統合型のビジネスモデルから、ファブレスやファウンドリへの転換の遅れ
  • 日米半導体協定による市場開放の圧力
  • 技術革新のスピードについていけなかった企業体質

現在の復活策は、これらの教訓を踏まえ、官民連携と国際協調を重視している点が特徴だ。しかし、補助金に依存した産業政策が持続可能かどうか、疑問視する声もある。

国際的な協調と競争

半導体産業は、もはや一国で完結できるものではない。日本は、米国や欧州、台湾などとの連携を強化し、サプライチェーンの多様化を進める必要がある。特に、先端半導体の製造には、オランダのASML社製の露光装置など、特定の国に依存する設備が多く、地政学的リスクへの対応が求められる。

一方で、中国の半導体自給率向上への取り組みは、日本にとって脅威であると同時に、ビジネスチャンスでもある。日本企業は、中国市場向けの半導体製造装置や材料の供給で優位性を持つため、バランスの取れた戦略が必要だ。

今後の展望と産業界の反応

日本の半導体産業復活への期待は大きいが、専門家の間では慎重な見方も多い。ある半導体アナリストは、「政府の支援は重要だが、民間企業の自助努力なしには成功しない。特に、収益性の高い製品を生み出すビジネスモデルの構築が不可欠だ」と指摘する。

また、半導体業界の関係者は、「過去の失敗を繰り返さないためには、長期的な視点での投資と、産学連携による人材育成が欠かせない」と強調する。日本の半導体産業が再び世界をリードする日は来るのか。その成否は、官民の努力と国際環境の変化に大きく左右されるだろう。

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