政府は日本の半導体産業の競争力強化に向け、新たな補助金制度を創設する方針を固めた。複数の政府関係者への取材で明らかになった。この制度は、先端半導体の国内生産拠点の整備を促進することを目的としており、2025年度までに総額1兆円規模の支援を見込んでいる。
新制度の概要と背景
新制度では、半導体メーカーや研究開発機関に対し、工場建設費の一部や設備投資額を補助する。特に、回路線幅が10ナノメートル以下の先端半導体に焦点を当て、台湾や韓国に依存する供給構造の是正を目指す。経済産業省は「半導体は経済安全保障の要であり、国内での安定調達が不可欠」と説明する。
背景には、世界的な半導体不足や地政学的リスクの高まりがある。2021年からの半導体不足は自動車や家電など幅広い産業に影響を与え、日本企業も生産調整を余儀なくされた。また、台湾有事の際の供給途絶リスクも懸念されている。
支援対象と期待される効果
補助金の対象は、先端半導体の設計・製造を行う企業や、製造装置・材料メーカーも含まれる。経済産業省は「産学連携による技術開発も支援し、人材育成にも力を入れる」と述べている。これにより、2030年までに国内半導体生産額を現在の約5兆円から15兆円に引き上げる目標を掲げる。
すでに、台湾のTSMCが熊本県に建設中の工場に対しては、政府が最大4,760億円を補助することを決定している。今回の新制度は、こうした個別案件を包括的に支援する枠組みとなる。
課題と今後のスケジュール
一方で、専門家からは「巨額の補助金が効率的に使われるか疑問」との声も上がる。また、人材不足や電力コストの高さなど、国内での半導体生産には多くの課題が残る。政府は2024年度の通常国会に関連法案を提出し、早期成立を目指す方針だ。
新制度の導入により、日本の半導体産業が再び世界で存在感を示せるかが注目される。



