日本政府は23日、次世代半導体の戦略を正式に発表した。2030年までに国内の半導体生産額を現在の約3倍に引き上げる目標を掲げ、官民連携で5兆円を超える大規模投資を計画している。これは、経済安全保障の観点から半導体の国内供給体制を強化し、先端技術の開発競争で国際的な優位性を確保する狙いがある。
半導体戦略の背景と目標
半導体は、自動車、家電、人工知能(AI)などあらゆる産業の基盤となる重要部品だ。近年、米中対立や台湾有事のリスクから、半導体の安定供給が各国の安全保障上の課題となっている。日本政府は、こうした状況を踏まえ、国内半導体産業の復活を目指す。
経済産業省がまとめた戦略では、2030年までに国内の半導体生産額を現在の約5兆円から15兆円に拡大する目標を設定。具体的には、先端ロジック半導体の量産体制を確立し、パワー半導体やセンサーなど、日本の強みを持つ分野でのシェア拡大を図る。また、AI向けの最先端半導体の開発にも注力する。
官民連携で5兆円超の投資
政府は、半導体関連のプロジェクトに対し、補助金や税制優遇措置を通じて支援する方針だ。2023年度から2030年度までの7年間で、官民合わせて5兆円を超える投資を見込む。このうち、政府の負担額は約1兆円と試算されている。
具体的なプロジェクトとして、台湾のTSMCと共同で熊本県に建設中の半導体工場や、米IBMと連携した先端半導体の研究開発などが挙げられる。また、国内の半導体メーカーであるキオクシアやソニーグループも、積極的な設備投資を計画している。
専門家の見解と課題
半導体業界の専門家は、「今回の戦略は現実的な目標を掲げており、実行可能性は高い」と評価する。一方で、「人材不足や技術継承の課題が残る」と指摘する。特に、半導体設計や製造のエンジニアは世界的に不足しており、日本でも育成が急務だ。
また、巨額の投資を回収するには、安定した需要の確保が不可欠だ。政府は、自動車メーカーや電機メーカーなど、国内の半導体ユーザーとの連携を強化し、需要創出を図る方針だ。
国際競争と日本の位置づけ
世界の半導体市場は、台湾や韓国、米国が先行する。日本政府は、今回の戦略を通じて、2030年までに世界シェアを現在の約10%から20%に引き上げる目標を掲げる。経済産業省の担当者は、「日本は材料や製造装置で強みを持つ。これらを活かし、国際競争に勝ち抜きたい」と述べた。
政府は、半導体戦略の進捗状況を毎年検証し、必要に応じて計画を見直す方針だ。今後の動向が注目される。



