EVシフトが半導体需要を急増させる
電気自動車(EV)への移行が加速する中、半導体の需要が急増している。EVには従来のガソリン車と比べて約2倍の半導体が使用されるとされ、車載半導体の市場は2020年の約380億ドルから2030年には約1100億ドルに拡大すると予測されている。この急激な需要増に対応するため、世界中の半導体メーカーが設備投資を強化しているが、日本メーカーはその波に乗り遅れている。
日本メーカーの半導体シェア低下
1990年代には世界の半導体市場で約50%のシェアを誇っていた日本メーカーだが、2022年にはそのシェアは10%未満にまで低下した。特に、先端ロジック半導体やメモリ半導体の分野では、韓国や台湾のメーカーに大きく水をあけられている。村田製作所の村田恒夫会長は「日本は半導体への投資で明らかに遅れをとっている。このままでは、自動車産業の競争力にも影響が出る」と警鐘を鳴らす。
半導体調達競争の激化
EVシフトに伴い、自動車メーカー各社は半導体の確保に奔走している。トヨタ自動車は、2023年度に半導体関連の設備投資を前年度比で約2倍の1兆円規模に増やす計画を発表。一方、日産自動車やホンダも、半導体メーカーとの直接契約を強化している。しかし、世界の半導体メーカーの生産能力は限られており、特に最先端の車載半導体では、台湾積体電路製造(TSMC)やサムスン電子などに依存せざるを得ない状況だ。
政府の半導体戦略と今後の課題
日本政府も半導体産業の復活に向けて動き出している。2021年度補正予算では、半導体関連の国内投資促進に約6000億円を計上。さらに、2022年には「半導体・デジタル産業戦略」を策定し、2030年までに国内半導体関連の売上高を現在の約5倍の15兆円に引き上げる目標を掲げている。しかし、実際の効果が出るまでには時間がかかる。東京エレクトロンの関係者は「半導体工場の建設には数年かかり、人材育成も急務だ。政府の支援は重要だが、民間企業の自助努力も不可欠」と指摘する。
EVシフトの加速は、日本メーカーにとって半導体調達の重要性を改めて認識させるものとなった。半導体不足が長期化すれば、EVの生産計画に遅れが生じ、競争力の低下につながる恐れがある。日本メーカーが世界市場で生き残るためには、半導体調達戦略の抜本的な見直しと、政府と連携した長期的な投資が求められている。



