電気自動車(EV)の普及が半導体の需要構造を大きく変えている。従来のパソコンやスマートフォン向けに加え、車載用半導体の需要が急増。これに対応するため、日本、米国、欧州各国が相次いで半導体工場の新設や増産を発表している。
車載半導体の需要急増
EV1台に搭載される半導体の数は、従来のガソリン車と比べて2倍以上に増加する。パワー半導体やマイコン、センサーなど、多様な半導体が必要となる。国際半導体製造装置協会(SEMI)のデータによると、車載半導体市場は2020年の約380億ドルから2026年には約670億ドルに拡大する見通しだ。
「半導体不足が自動車生産に深刻な影響を与えた教訓を踏まえ、各国が供給網の強化を急いでいる」と、業界関係者は指摘する。
日米欧の生産拡大計画
日本では、TSMCが熊本県に工場を建設中で、2024年の量産開始を目指す。経済産業省は半導体関連の補正予算として約1兆円を計上し、国内生産基盤の強化を図る。米国では、2022年に成立したCHIPS法に基づき、半導体製造に約527億ドルの補助金を提供。インテルやサムスン電子が大規模な工場建設を発表している。欧州でも、欧州半導体法案により2030年までに域内生産シェアを現在の10%から20%に引き上げる目標を掲げる。
台湾依存のリスク
現在、先端半導体の9割以上を台湾が生産しており、地政学的リスクが顕在化している。半導体の安定供給を確保するため、各国は自国生産の拡大に動いているが、巨額の投資と人材確保が課題となる。特に、半導体製造に必要な高度な技術者や工場建設のノウハウは限られており、競争が激化している。
今後の展望
半導体の需給逼迫は、EVシフトの加速とともに中長期的に続く可能性が高い。各国政府の支援と企業の投資が実を結び、供給網が多様化するかが焦点となる。自動車業界にとっては、半導体の調達戦略が競争力を左右する重要な要素となりそうだ。



