EVシフト加速で半導体需要急増、日本企業の競争力強化が急務に
EVシフト加速で半導体需要急増、日本企業の競争力強化が急務に

電気自動車(EV)の世界的な普及加速に伴い、車載半導体の需要が急増している。従来のガソリン車に比べ、EVは半導体の使用量が約2倍に増加するとされ、電動化や自動運転技術の進展により、その傾向はさらに強まると予想される。この需要拡大を背景に、日本企業の半導体競争力強化が急務となっている。

EV1台あたりの半導体搭載数が急増

業界団体の調査によると、EV1台に搭載される半導体の数は、ガソリン車の約2倍にあたる約2000個に達する。特に、パワー半導体やマイコン、センサー類の需要が高く、車載半導体市場は2025年には600億ドル規模に拡大すると見込まれている。こうした中、日本政府は半導体戦略を加速し、2030年までに国内の半導体生産額を15兆円に引き上げる目標を掲げている。

日本企業の競争力低下が深刻化

しかし、日本企業の半導体競争力は低下傾向にある。かつて世界市場を席巻した日本の半導体産業も、近年は韓国や台湾勢に押され、世界シェアは10%を切ったとされる。特に、先端ロジック半導体の分野では、TSMCやサムスン電子に大きく差をつけられている。この状況を打開するため、政府は台湾のTSMCを熊本に誘致し、先端半導体の国内生産基盤を整備する方針だ。

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政府の半導体戦略と企業の取り組み

政府は2021年、半導体・デジタル産業戦略を策定し、官民連携で半導体産業の復活を目指している。具体的には、国内に半導体工場を新設する企業に対する補助金制度を創設し、TSMCの熊本工場には最大4760億円の補助金を投入する。また、国産の半導体受託製造会社「ラピダス」を設立し、2027年までに2ナノメートル世代の先端半導体の量産を目指す。

一方、自動車メーカーも半導体の安定調達に向けた動きを加速している。トヨタ自動車は、半導体メーカーとの直接契約を強化し、在庫管理の徹底を図る。また、日産自動車は、ルネサスエレクトロニクスと協業し、車載半導体の開発を加速する方針だ。

EVシフトがもたらす半導体需要の構造変化

EVシフトは半導体需要の構造変化ももたらしている。従来の車載半導体は、エンジン制御やパワートレイン向けが中心だったが、EVではバッテリー管理やモーター制御、自動運転向けの高性能半導体の需要が拡大。特に、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)といった次世代パワー半導体の需要が急増しており、日本企業もこの分野での競争力を強化する必要がある。

経済産業省の担当者は「半導体は安全保障の観点からも極めて重要だ。国内での生産基盤を強化し、サプライチェーンの強靭化を図る」と述べ、政府として半導体産業の振興に全力を挙げる姿勢を示している。

今後の展望と課題

半導体需要の急増は日本企業にとって大きなチャンスである一方、技術開発や人材確保など多くの課題も残る。特に、先端半導体の開発には巨額の投資が必要で、官民連携のさらなる強化が不可欠だ。また、半導体業界の人手不足も深刻化しており、人材育成が急務となっている。

半導体市場は今後も拡大を続けると予想され、EVシフトはその重要なけん引役となる。日本企業がこの流れに乗り遅れることなく、競争力を回復できるかが問われている。

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