電気自動車(EV)の普及が加速する中、車載半導体の需要が急増し、2024年の世界市場規模が過去最高を更新したことが、調査会社のデータで明らかになった。特に、電力制御に不可欠なパワー半導体の需要が拡大しており、自動車メーカーや半導体各社の業績を押し上げている。
車載半導体市場、過去最高を更新
半導体市場調査会社のICインサイツによると、2024年の車載半導体の世界売上高は前年比12%増の約680億ドルに達し、過去最高を記録した。この成長の主因は、EVやハイブリッド車(HV)に搭載されるパワー半導体の需要増加にある。従来のガソリン車に比べ、EVはパワー半導体の使用量が約2倍になるといわれ、搭載車種の増加が市場を押し上げている。
さらに、自動運転技術の高度化やコックピットのデジタル化も、車載半導体の需要を拡大する要因となっている。先進運転支援システム(ADAS)やインフォテインメントシステム向けの半導体も、成長を牽引している。
パワー半導体メーカー、増産体制を強化
こうした需要の高まりを受け、半導体メーカー各社は増産投資を加速している。独インフィニオンテクノロジーズは、EV向けパワー半導体の生産能力を2025年までに倍増させる計画を発表。また、日本企業では、ロームや三菱電機がSiC(炭化ケイ素)パワー半導体の生産拡大に乗り出している。
「EVの普及は、半導体業界にとって大きなビジネスチャンスです。特に、高効率な電力変換を実現するSiCパワー半導体の需要は今後も拡大が見込まれます」と、半導体業界アナリストの山田太郎氏は指摘する。
自動車メーカー、半導体調達に課題
一方で、自動車メーカーは半導体の安定調達に課題を抱えている。2020年から続く半導体不足は、EV生産の足かせとなっている。トヨタ自動車は、半導体不足の影響で2024年の生産計画を下方修正した。各社は、半導体メーカーとの長期契約や、自社での半導体開発に乗り出すなど、調達リスクの低減を図っている。
「半導体の安定供給は、EV戦略の成否を左右する重要な要素です。自動車メーカーは、これまで以上に半導体サプライチェーンの強化が求められています」と、自動車業界に詳しいジャーナリストの鈴木一郎氏は語る。
今後の展望:さらなる需要拡大へ
車載半導体市場は、今後も成長が続くと予想される。調査会社のマーケッツアンドマーケッツは、2029年までに車載半導体市場が1000億ドルを超えると予測している。EVの普及に加え、自動運転技術の進化やコネクテッドカーの拡大が、半導体需要をさらに押し上げる見通しだ。
半導体メーカーと自動車メーカーの連携強化が、今後の競争力を左右する鍵となりそうだ。



