EV販売減速で中国電池大手CATLが過去最高益も在庫リスク増大
EV減速でCATL過去最高益も在庫リスク増大

中国の電気自動車(EV)用電池最大手であるCATL(寧徳時代新能源科技)が2024年10月に発表した2024年1-9月期決算は、純利益が前年同期比25%増の約360億元(約7,200億円)となり、過去最高を記録した。売上高は同12%増の約2,590億元(約5兆2,000億円)で、好調な業績を維持している。しかし、EV販売の減速が鮮明になる中、在庫リスクが増大しており、業界全体で供給過剰の懸念が強まっている。

業績拡大の背景と減速の兆し

CATLの業績拡大は、中国市場でのEV販売台数の増加に支えられてきた。2024年1-9月の中国新エネルギー車(NEV)販売台数は前年比32%増の約830万台と堅調に推移している。しかし、増加率は2023年の同36%から鈍化しており、特に2024年後半に入って減速傾向が顕著だ。中国政府のEV購入補助金の縮小や、経済成長の減速が消費者の購買意欲を冷ましているとみられる。

CATLの財務報告によると、2024年第3四半期(7-9月)の売上高は前年同期比8%増の約1,050億元で、第2四半期の同13%増から伸びが鈍化した。純利益は同14%増の約131億元で、第2四半期の同29%増から大幅に減速した。同社は「市場環境の変化に柔軟に対応する」とコメントしているが、減速の兆しは明らかだ。

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在庫リスクの顕在化

CATLの2024年9月末時点の在庫額は約680億元と、2023年末比で15%増加した。在庫回転率は2023年の4.5回から2024年1-9月には3.2回に低下しており、在庫の滞留期間が長期化している。これは、EVメーカーからの受注が想定を下回っていることを示唆する。中国の自動車業界アナリスト、張翔氏は「CATLは依然として世界最大の電池メーカーだが、EV販売の減速により在庫調整が必要になるだろう」と指摘する。

特に、CATLの主要顧客であるテスラや比亜迪(BYD)などのEV大手が自社生産の電池を増やしていることも、CATLの受注減少に拍車をかけている。BYDは2024年に自社製電池「ブレードバッテリー」の生産能力を大幅に拡大し、CATLからの調達を削減している。また、テスラも2024年初頭に自社工場での電池生産を強化すると発表した。

供給過剰と価格競争の激化

中国の電池業界全体では、生産能力過剰が深刻化している。中国汽車動力電池産業創新連盟のデータによると、2024年9月時点の中国の電池生産能力は約1,200ギガワット時で、需要見込みの約900ギガワット時を上回っている。この供給過剰により、電池価格は2023年から2024年にかけて約20%下落した。CATLの電池平均販売価格も2024年1-9月に前年同期比で約15%低下しており、利益率の圧迫要因となっている。

CATLの2024年1-9月の営業利益率は約14%で、前年同期の約16%から低下した。同社は規模の経済と技術革新でコスト削減を進めているが、価格競争の激化が収益性を悪化させている。業界団体の中国電池工業協会は「2025年までに業界再編が加速するだろう」と予測している。

将来展望と戦略転換

CATLは、EV用電池の需要減速に対応するため、エネルギー貯蔵システム(ESS)や産業用電池など新分野への事業拡大を進めている。2024年1-9月のESS向け電池販売は前年比50%増と好調で、売上高全体の約12%を占めるまでに成長した。また、CATLは欧州や東南アジアでの生産拠点拡大を計画しており、海外市場での競争力強化を図っている。

しかし、欧州連合(EU)が2024年10月に中国製EVに対する追加関税を発動したことで、CATLの海外戦略にも影を落としている。同社は「関税の影響を最小限に抑えるため、現地生産を加速する」と述べている。一方で、中国国内でのEV販売減速が長期化すれば、在庫リスクがさらに高まる可能性がある。

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CATLの創業者で会長の曾毓群氏は「当社は長期的な視点で事業を展開しており、短期的な市場変動に左右されない」と強調する。しかし、投資家の間では懸念が広がっており、CATLの株価は2024年10月に年初来高値から約20%下落した。アナリストの間では、2025年の業績見通しに対する不透明感が強まっている。

中国のEV市場は、政府の支援策や新興メーカーの参入により、中長期的には成長が続くと予想される。しかし、短期的には需要減速と供給過剰が業界全体に調整圧力をかけており、CATLのような大手でさえも影響を免れない。今後の鍵を握るのは、在庫管理の効率化と新たな需要の開拓だ。