自動車部品業界でEV(電気自動車)シフトに対応する動きが加速している。デンソーと日本特殊陶業は、次世代のSiC(炭化ケイ素)パワー半導体の内製化を進め、2028年までに量産体制を確立する計画だ。これにより、EVの航続距離を20%以上向上させ、コストを30%削減できる見込みという。
SiCパワー半導体とは何か
SiCパワー半導体は、従来のシリコン製半導体に比べて、高電圧・高温下での動作効率が格段に優れている。EVのインバーターや充電器に使用することで、電力損失を低減し、バッテリーの航続距離を延ばすことができる。デンソーと日本特殊陶業は、この技術の内製化により、外部調達への依存を減らし、供給の安定化を図る。
2028年までの量産計画
両社は、2025年までに試作品を完成させ、2028年には量産を開始する目標を掲げる。生産拠点は愛知県内に新設する工場を予定しており、投資額は総額で約500億円を見込む。これにより、年間で100万個以上のSiCパワー半導体の供給が可能になるとしている。
EV市場への影響
この動きは、EV市場の拡大に大きく寄与する。現在、EVの販売価格はガソリン車に比べて高く、普及の障壁となっている。しかし、SiCパワー半導体の内製化により、部品コストが低減されれば、車両価格の低下につながる。また、航続距離の向上は消費者の不安を軽減し、EV需要をさらに喚起するだろう。
デンソーの広報担当者は、「この技術により、EVの性能を飛躍的に向上させることができる。業界全体のEVシフトをリードしていきたい」とコメントしている。
業界全体の動き
自動車業界では、半導体の内製化が世界的なトレンドとなっている。トヨタ自動車も、グループ企業と連携して次世代半導体の開発を進めており、2027年までの実用化を目指す。また、欧州の自動車メーカーも、半導体メーカーとの提携を強化している。
このような動きは、半導体不足のリスクを軽減し、サプライチェーンの安定化につながる。特に、EVに不可欠なパワー半導体の内製化は、競争力の源泉となる。
今後の展望
デンソーと日本特殊陶業は、SiCパワー半導体の内製化を通じて、EV市場での存在感を高める方針だ。さらに、2028年以降は、他の自動車メーカーへの供給も視野に入れており、新たな収益源として期待されている。
日本の自動車部品業界は、EVシフトで競争が激化する中、技術開発と投資を加速している。この動きが、日本全体のEV普及を後押しすることになりそうだ。



