韓国LG Displayは8月19日、ファインメタルマスク(FMM)を用いずにRGB画素を形成する次世代OLED製造技術「FLiPP(FMM-Less innovative Pixel Patterning)」を発表した。従来のFMM方式と比較し、輝度や寿命、電力効率を大幅に向上できるとしている。
従来のFMM方式の課題
従来のRGB OLED生産では、微細な穴を開けたファインメタルマスクをステンシルのように使い、赤・緑・青の有機材料を蒸着して画素を形成してきた。この方式は10年以上にわたり主要な製造手法として使われてきたが、パネルのサイズや解像度に応じて異なるマスクを用意する必要があり、製造の複雑化やコスト増につながっていた。また、大型の金属マスクは自重で中央部がたわみやすく、位置ずれや混色不良の原因にもなっていた。
FLiPPの仕組みと性能向上
今回公開されたFLiPPは、金属マスクを用いずに画素を形成する。RGBの有機材料を順次成膜・固定した後、半導体製造でも使われるフォトリソグラフィ技術を応用し、精密な紫外線によって不要な部分を除去して微細なパターンを形成する。
LG Displayによれば、同一条件でFMM方式と比較した場合、FLiPPは画素の発光領域の割合を示す開口率を約55%高められる。これにより、輝度最大1.6倍、寿命2.4倍、消費電力の13%削減を実現できるとしている。
製造面での利点と今後の展開
製造面では、大型のマザーガラスを分割せずに利用できることも特徴となる。LG DisplayはFLiPPにより、8.5世代のマザーガラスを1枚のまま使用してFMMレスOLEDを製造することに成功した。同サイズのノートPC向けOLEDパネルを製造する場合、FMM方式や、基板の分割を必要とする他のFMMレス方式に比べ、マザーガラスの利用効率を最大64%高められるという。パネルのサイズや解像度に応じて新たなFMMを用意する必要がないため、生産の柔軟性が向上する。基板材料のロスを抑え、生産性の向上や製造コストの低減にもつながるとしている。
今後はまず、タブレットやモニターなどのIT向けOLEDへの適用を進め、その後、大型テレビや約1インチのウェアラブル機器向けなどに展開する方針である。現時点では、FLiPPを採用する具体的な製品や量産開始時期は明らかにされていない。



