SUVが全盛の自動車市場において、レクサスは新型「ES」でセダンにこだわる。8代目となるプロトタイプにカリフォルニアで先行試乗した。その完成度は極めて高い。
BEVとHEVの2本立て
新型ESの最大の特徴は、ピュアエンジン車(ICE車)を廃止したことだ。パワートレインはBEV(バッテリー駆動EV)とHEV(ハイブリッド)の2種類。HEVモデルには「h」、BEVモデルには「e」が末尾に付く。
BEV用のバッテリーを床下に搭載したため、キャビンの天井を高くすれば居住性は確保できるが、ルーフが高くなりSUV的なプロポーションになりがちだ。しかし、新型ESは全高1540mm、全長4930mmと、セダンらしいスタイルを維持している。対照的にトヨタ「クラウンクロスオーバー」はSUV寄りのプロポーションだ。
マルチパスウェイ戦略
温室効果ガス排出量削減のため、レクサスはBEVとHEVの2本立てを「マルチパスウェイ」と命名。BEVだけがカーボンニュートラルの手段ではないとし、市場ごとのエネルギー事情や使い方に応える多様な選択肢を提供する。HEV、PHEV、ICE車も含め、誰ひとり取り残さずカーボンニュートラルを目指す。
私がカリフォルニア州サンディエゴで試乗したモデルは、BEVの「ES500e」と「ES350e」、ハイブリッドの「350h」の計4台。ES500eは「DIRECT4」4WD技術を採用したAWD(全輪駆動)、ES350eはFWD。ES350hは「E-Four」で後輪をモーター駆動するAWDと前輪駆動の2種類がある。
テストドライブ当日は戦没将兵追悼記念日(メモリアルデイ)の前日で交通量が多かった。アメリカのインターステーツは流れが速いが、ところどころで詰まる。ドイツのアウトバーンとは異なり、全体の流れを崩す走りは嫌われる。
走行性能と乗り心地
試乗した印象では、BEVモデルは静粛性が高く、加速は滑らか。HEVモデルもエンジンとモーターの協調が自然で、パワフルだ。ただし、路面によっては突き上げを感じる場面もある。サスペンションは全般的に硬めで、スポーティな味付けだ。
新型ESはセダンの良さを残しつつ、電動化時代にふさわしい進化を遂げている。SUV全盛の中、セダンで勝負するレクサスの意気込みが感じられる一台だ。



