緊張や不安に押しつぶされそうな時、誰でもできるメンタルの整え方
緊張や不安に押しつぶされそうな時、誰でもできるメンタルの整え方

緊張や不安に押しつぶされそうな場面を乗り越えるには、まず体の状態を整えることが重要だ。順天堂大学医学部特任教授で日本スポーツ協会公認スポーツドクターの小林弘幸氏が、誰にでもできるメンタルの整え方を解説する。

物事の受け止め方を変えることで気持ちが軽くなることはある。必要以上に悲観せず、少し引いたところから状況を見ることは、人生を健やかに生きるうえで大切な力だ。しかし、ポジティブシンキングはいつでも万能ではない。つらい状態にある人に「前向きに考えればいい」「気にしないほうがいい」と言っても、それだけで楽になるとは限らない。むしろ、「前向きになれない自分はなんてダメなんだろう」と感じ、さらに苦しくなることもある。

また、体が疲れ切っているとき、人は物事を冷静に見られなくなる。小さな失敗が大きな問題に見えたり、相手の何気ないひと言が強い否定に聞こえたりする。その状態で考え方だけを変えようとするのは、足をケガして走れない人に「こんなフォームにすれば速く走れるよ」とアドバイスするようなものだ。走り方を工夫する前に、まずは根本的に足を休ませ、ケガを治すことが必要だ。心も同じで、前向きに考えようとする前に、心がうまく働けるだけの体の余裕を取り戻すことが必要なのだ。

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ものの見方を変える前に体を整える

ものの見方を変えること自体が悪いわけではない。失敗から学ぶ、嫌な出来事の中にも次につながる材料を見つける、相手の言葉を一度落ち着いて受け止める――こうした姿勢は心を守るうえで大切だ。しかし、それらはすべて体の状態が整っていればこそ効果を発揮する。寝不足で頭がぼんやりしているとき、空腹でイライラしているとき、疲労で表情まで硬くなっているときに、無理やり前向きな言葉を自分にかけても心の奥までは届かない。

大事な商談で失敗した、上司に厳しい言葉をかけられた、部下との関係がうまくいかない――そんなときに、すぐ「これは成長のチャンスだ」と思えなくてもかまわない。まずは体の状態を立て直そう。水を飲む、外の空気を吸う、歩きながら考える、帰宅後はスマートフォンから少し離れて体を休ませる。体の状態が整えば、心も自然と落ち着いていく。メンタルの回復は、思考法や気合でどうにかする前に、日々の体のコンディションづくりから始まるのだ。

トップアスリートも体→技→心でメンタルを整える

小林氏はプロ野球チームのコンディショニング指導の現場で多くのトップアスリートたちと向き合ってきた。その現場で強く感じたのは、一流の選手ほどメンタルを「心の問題」だけで片づけようとしないことだ。まず行うのが、体を動かすことだという。

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