グーグルが東京・表参道に直営店「Google Store 表参道」を出店し、スマートフォンメーカーのリアル店舗の在り方が注目されている。国内では通信キャリア経由の販売が依然として主流である一方、メーカー直営店は製品体験やサポートの場として重要性を増している。
海外では一般的なメーカー直営店
海外の主要都市では、メーカー直営店や専用売り場が珍しくない。アジア、欧州、中東、インド、アフリカなどでは、サムスン、シャオミ、OPPO、vivo、ファーウェイなどが路面店や商業施設内の店舗を展開している。主要都市にアップルストアが必ず立地しているのは日本と同様だ。大型家電店の一角にブランド専用の売り場をつくり、専門スタッフを置くショップ・イン・ショップも一般的である。
背景には、回線と端末の売り方の違いがある。多くの国・地域では、利用者は自分でスマートフォンを選び、その後に通信キャリアで料金プラン、SIMカードを選ぶ。通信キャリアが端末を販売する場合でも、日本のように「通信キャリアのスマホ」を選ぶというより、あくまでもメーカーの製品を回線とともに購入するという意識が強い。
メーカーにとっての販売網と接点
アジアやヨーロッパなどの市場は、メーカー側から見れば新製品の発売時期や販売チャネルを自ら設計しやすい。自社のオンラインストア、直営店、量販店、通信キャリアを同時に使い分けられるため、店舗は販売網の一部であると同時に、製品理解を促す重要な接点となる。
なお日本でもSIMフリー端末、すなわち通信キャリアではなく、メーカーが販売するスマートフォンを単体で購入する人は増えている。とはいえ2025年度の全スマートフォン出荷台数を見ると、9割が通信キャリア経由であり、SIMフリー市場は1割程度だ。今後スマートフォンメーカーが店舗を拡大したとしても、急速にキャリア店舗を置き換える段階にはない。
キャリアショップの利点と限界
通信キャリアの店舗には、メーカー店にはない利点がある。回線契約、料金プランの見直し、端末の購入、初期設定、データ移行までをまとめて相談できることだ。スマホの故障や機種変更で困ったときに、対面で相談できる場所が全国にあることは、とりわけデジタル機器に不慣れな利用者にとって重要である。
ただし、スマートフォンの進化によって、店頭で求められる説明は難しくなっている。端末の差は画面サイズやカメラの画素数だけでは判断できない。特に最近急速に進化しているAI関連機能は、実際の利用場面を想定して説明してこそ価値が伝わる。
キャリアショップの店員は、料金プラン、契約変更、本人確認、乗り換え手続き、故障時の案内なども担う。こうした業務をこなしながら、すべてのメーカー、すべての機種の細かな機能まで習熟するのは容易ではない。製品が複雑になるほど、メーカーが専門知識を持つスタッフを配置する意味は増す。
メーカー店舗に期待される役割
日本ではiPhoneの利用者が多く、アップルの直営店とキャリアショップが、端末の相談先として機能してきた。しかしAndroid端末では、メーカーごとにカメラ、AI、折りたたみ機構、独自サービスなどの違いが大きい。利用者が自分に合う端末を選び、機能を使いこなすには、メーカー別の説明を受けられる場が必要になる。
メーカー直営店は、契約手続きの場から体験と支援の場へと役割を変えつつあり、キャリアショップとの新たな役割分担が進むとみられる。



