住宅地そばの巨大データセンター建設は「新しい公害」か?都市部で摩擦相次ぐ
住宅地そばの巨大データセンター建設は新しい公害か

生成AI(人工知能)の普及で需要が急増するデータセンター(DC)が、住宅地に近い都市部でも相次いで計画されている。東京都日野市では、日野自動車工場跡地の大規模DC計画をめぐり、住民側が情報開示の不足を訴えて審査請求に踏み切った。千葉県印西市では住民が建築確認の取り消しを求めて提訴。利便性と地域環境をどう両立させるかが問われている。

日野の大型DC計画

高さ3メートルほどのフェンスが道路を囲むように続いている。東京都日野市日野台に暮らす山崎康夫さん(69)は言う。「この向こうに巨大なデータセンター(DC)が建つなんて、想像もしていませんでした」。山崎さんは市民団体「巨大データセンターから住民の暮らしと環境を守る市民の会」の共同代表だ。フェンスの向こうは、日野自動車の工場跡地。ここに、生成AIなどの膨大なデータ処理を支えるDCがつくられようとしている。

DCは、インターネット用のサーバーやデータ通信などの装置を設置・運用することに特化した建物の総称。生成AIの急速な普及を背景に、需要が拡大している。日野市で進む「日野DC計画」を手がけるのは、大手ディベロッパーの三井不動産だ。2023年9月、同社は経営再建中の日野自動車の工場跡地、約11万4千平方メートルを取得。翌24年7月、同社は跡地にデータセンター3棟などを整備する「日野DC計画」を公表した。今年10月ごろ着工し、31年2月の完成を予定している。

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住民の不安に企業は?

計画に対して住民からは、騒音や電磁波、電力消費に伴う環境負荷への懸念が上がっている。特に、DCの冷却に使われる大型空調設備の騒音や、送電線からの電磁波が健康に影響を与えるのではないかという不安が強い。また、情報開示が不十分だとして、市民団体は東京都に対して情報公開請求を行い、審査請求に至った。三井不動産は「地域の皆様にご理解いただけるよう、丁寧に説明を続ける」とコメントしている。

都市部で進むDC集積〜利便性と環境負荷のはざまで

印西市では、別のDC建設計画をめぐり住民が建築確認の取り消しを求めて提訴。昭島市でも反対運動が起きている。各地で調整が続く中、有識者検討会はDC建設のあり方に関する「要望書」を提出し、情報開示の徹底や法整備の必要性を指摘している。

DCは都市部に近いほど通信遅延が少なく利便性が高いが、その一方で大量の電力消費や騒音、景観への影響といった環境負荷が課題となる。専門家は「DCは社会インフラとして不可欠だが、立地選定や建設プロセスにおける透明性が不足している」と指摘する。住民との摩擦を避けるためには、早期の情報開示と協議が重要だ。

今後も生成AIの普及に伴いDC需要は増加すると見込まれ、都市部での建設は避けられない。利便性と地域環境の両立を図るため、国や自治体によるガイドラインの整備や、事業者に対する規制の強化が求められている。

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