住宅地のすぐそばに建設される巨大データセンターが、新たな公害問題として注目を集めている。都市部ではこうした建設ラッシュが続いており、住民との摩擦が相次いでいる。情報開示や法整備の遅れが浮き彫りになる中、今後の対策が急務となっている。
データセンター建設をめぐる住民との対立
東京都日野市では、三井不動産による大規模データセンター建設計画に対し、周辺住民から反対の声が上がっている。住民は騒音や排熱、景観悪化などを懸念し、計画の見直しを求めている。
三井不動産の対応と住民の懸念
三井不動産は本誌の取材に対し、「建物最高高さを80メートルから72メートルに引き下げたほか、建物西側には最大約78メートルのセットバック幅を設け、敷地北側には約6900平方メートルの公園を計画するなど、圧迫感の低減を図ってきた」と説明。さらに「歩道状空地や緑地、防災拠点などを整備し、地域住民が安全に利用できる憩いの場づくりや災害時のレジリエンス強化にも寄与する計画としている」と述べている。
市民側が求める電力消費量やCO2排出量、サーバー冷却時の排熱量などの開示については、「年間使用電力量」「脱炭素化に向けた目標値」「温室効果ガス削減方針・取り組み事項」などを記載した「特定開発区域脱炭素化方針提出書」を2026年中に公表予定だとしている。排熱については、「冷却方式は現時点で未定」としつつ、空冷型では排出空気が浮力によって上昇するため「周辺住民に影響を与える可能性は低い」、水冷型でも気化熱として吸収されるため「周辺気温の上昇はほぼ生じない」との見解を示した。
三井不動産は「今後もご意見・ご質問等を伺いながら計画へのご理解を深めていただけるよう努めてまいります」とコメントしている。
都市部で進むデータセンター集積の背景
こうした問題は日野市だけではない。大都市ではデータセンターの建設ラッシュが起きている。そもそもなぜ都市部に建設するのか。生成AIや金融取引、動画配信などはデータの往復時間を極限まで短縮する必要があり、データセンターは大都市に近い立地が選ばれる傾向が強い。市場調査会社の富士キメラ総研によれば、国内に現在データセンターは約500カ所。そのうち約8割は東京圏と大阪圏に集中している。
都心部での建設事例と批判
都心の一等地、東京タワーに隣接する場所では、オーストラリアのデータセンター運営会社が建設を進めている。建物の高さは約40メートルで、2030年代後半の完成を予定。SNSでは「都市景観として最悪」「電力消費や排熱は大丈夫なのか」といった批判の声が上がっている。
法廷闘争に発展するケースも
対立が深刻化し、法廷に持ち込まれるケースもある。東京都昭島市では、推計3000本以上の樹木が伐採され更地が広がっている。住民は環境影響評価の不備を訴え、訴訟に発展している。
データセンター建設をめぐる問題は、情報開示の不足や法整備の遅れが背景にある。専門家は「データセンターは社会インフラとして重要だが、住民の理解を得るための透明性が不可欠だ」と指摘する。



