子どものジャンクフード、脳に影響残る?大人になっても過食グセ Nature姉妹誌に掲載 マウスは腸内細菌で正常化に成功
子どものジャンクフード、脳に影響残る?大人でも過食グセ

アイルランドのユニバーシティ・カレッジ・コークなどに所属する研究者らがNature Communicationsに発表した論文「Bifidobacterium longum and prebiotic interventions restore early-life high-fat/high-sugar diet-induced alterations in feeding behavior in adult mice」は、幼少期に脂質や糖を多く含むジャンクフードなどの不健康な食事をとることは、大人になってからの食行動にまで長期的な悪影響を及ぼすことを明らかにした研究報告だ。

幼少期の高脂肪・高糖食が成人後の食行動に与える影響

子どものころに高脂肪・高糖食を与えられたマウスは、大人になってから健康な標準食に戻り、体重が正常化した後でも、過食、エサを無駄に食べ散らかす、甘いものや脂っこい食事を過剰に欲しがるといった異常な食行動が治まらなかった。生まれてから生後35日まで高脂肪・高糖食で育ったマウスは、その後標準食に切り替えても、成体期に異常な食行動が残った。

これは、脳の視床下部という食欲をコントロールする領域に、過去の不健康な食生活によるダメージが定着してしまったためだという。この脳や体への影響の現れ方には性差があり、メスのマウスは満腹感に関わる受容体が減少するなど、脳と行動のレベルでオスより影響を受けていた。一方でオスのマウスでは、腸内細菌の成分を感知する機能やステロイド代謝の異常が主に観察された。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

腸内環境改善による治療法の可能性

しかし研究チームは、こうした長期的な影響に対し、腸内環境を改善する2つのアプローチが有効な治療法になりうる可能性を示した。

1つは、腸内細菌のエサとなるプレバイオティクス(フラクトオリゴ糖やガラクトオリゴ糖)を与える方法。これは腸内細菌のグループ全体を変化させることで、脳と腸の連携を正常な状態に修復した。

もう1つは、特定の生きた乳酸菌であるプロバイオティクス(ビフィズス菌の一種)を与える方法。こちらは腸内細菌の全体的な構成にはほとんど影響を与えなかったにもかかわらず、ドーパミンに関連する神経伝達や特定の代謝経路の乱れを修復し、異常な食行動を正常化させることに成功した。

早期のジャンクフード的な食事が成体の脳の食欲調節を乱す一方、2つの腸内介入がそれを修復することを示した概要図。Source and Image Credits: Cuesta-Marti, C., Ponce-Espana, E., Uhlig, F. et al. Bifidobacterium longum and prebiotic interventions restore early-life high-fat/high-sugar diet-induced alterations in feeding behavior in adult mice. Nat Commun 17, 1653 (2026). https://doi.org/10.1038/s41467-026-68968-2

関連記事: 「口の中の細菌3分の1」は一緒に暮らす人々と共有していた 約1万の唾液と糞便を採取し感受性菌株を調査。イタリアのトレント大学などに所属する研究者らは、約1万の唾液と糞便を採取し、世帯内外の個人間でどの程度細菌が広がるかを調査した研究報告を発表した。

腸内環境の悪化で脳も老化する? 老マウスの腸内細菌移植で若いマウスの記憶力低下 Natureで研究発表。ペンシルベニア大学やスタンフォード大学、Arc Instituteなどに所属する研究者らがNature誌で発表した論文「Intestinal interoceptive dysfunction drives age-associated cognitive decline」は、加齢に伴う記憶力の低下は、脳だけの問題ではなく、腸内環境が大きく関わっていることを明らかにした研究報告である。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ

コーヒーは腸を介して認知機能に影響する? アイルランドでの調査結果、Nature姉妹誌で研究発表。アイルランドのユニバーシティ・カレッジ・コークやイタリアのパルマ大学に所属する研究者らがNature Communicationsで発表した論文「Habitual coffee intake shapes the gut microbiome and modifies host physiology and cognition」は、日常的に飲むコーヒーが、腸内細菌叢(マイクロバイオーム)や人間の生理機能、認知能力にどのような影響を与えるかを調査した研究報告だ。

「鼻をほじる」と認知症になりやすい? オーストラリアの研究者が23年に研究発表 指に付いた細菌が嗅覚系から脳に侵入。オーストラリアのウェスタンシドニー大学などに所属する研究者らが2023年に、アルツハイマー病(AD)の発症メカニズムに関する新たな仮説を発表した。

深酒で腸が漏れるメカニズム、米国チームが研究報告 「たまになら大丈夫」……ではない? 米ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターなどに所属する研究者らが2025年11月に発表した論文「Unraveling the gastrointestinal tract's response to alcohol binges: Neutrophil recruitment, neutrophil extracellular traps, and intestinal injury」は、短期間の大量飲酒(ビンジ飲酒)が腸の炎症を引き起こす新たなメカニズムを明らかにした研究報告だ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.