アップルが箱からプラスチックを消すまでの10年、開封体験を変えなかった執念と日本の技術
アップルが箱からプラスチックを消すまでの10年と日本の技術

アップルが製品パッケージからプラスチックを完全に排除するまで、約10年の歳月を要した。その背景には、開封体験を決して損なわないという執念と、それを支える日本の高い技術力があった。

プラスチックフィルムから紙袋へ

かつて製品を包んでいたプラスチックのフィルムは、現在では姿を消している。アップルは環境戦略の一環として、パッケージの素材を段階的に切り替えてきた。特に紙袋は「繰り返し使える袋」として各国の基準に適合させているという。多くの基準は牛乳のガラス瓶のような重い食品を運ぶことを前提に作られている。つまりアップルの紙袋は、自社製品を運ぶだけでなく、食品を運べる強度評価までパスするよう設計されている。単に頑丈にするのではなく、再利用のその先まで見据えた設計思想である。

環境戦略の核を支える、日本の「伸びる紙」

取材で強く印象に残ったのが、日本企業の存在感だった。Apple Watch本体を包むカバーには、日本の大王製紙が手がける「破れずに簡単に伸びる紙」が採用されている。通常の紙では、ロゴを浮き上がらせたり複雑な立体形状を作ったりするとすぐ破れてしまうが、この特殊な紙を使うことで、美しい立体構造を製品化できたという。

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開発の深さも尋常ではない。アップルは材料の専門家や化学の技術者を日本のメーカーへ送り込み、紙の引っ張り強度や伸びやすさ、表面のなめらかさといった特性から、「その紙がどんな化学的仕組みで成り立っているか」という根本レベルまで議論するという。だからこそ、同じ細部にこだわれる部品メーカーが不可欠になる。

アップルの紙は「体験の劣化」を感じさせない

アップルが目指したのは、環境配慮によって開封体験が劣化しないことである。プラスチックから紙への置き換えは単なる素材変更にとどまらず、ユーザーが製品を手に取る瞬間の質感、音、感触に至るまで、一切の妥協を許さなかった。その結果、現在のパッケージは環境に優しく、かつ従来と変わらぬ高級感を保っている。

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