NTTドコモFG発足、通信と金融の融合でKDDIやソフトバンクに追い付けるか
NTTドコモFG発足、通信と金融の融合で競合に挑む

NTTドコモは2026年7月1日、金融事業を統括する中間持株会社「NTTドコモ・ファイナンシャルグループ(ドコモFG)」を正式に発足させた。傘下には住信SBIネット銀行(8月3日からはドコモSMTBネット銀行に商号変更)、マネックス証券、ドコモ・ファイナンス、ドコモ・インシュアランスといった銀行、証券、保険の各社が集結。ドコモ自身もdカードやd払い、iDなどの決済事業を手がけ、グループ全体で金融サービスを統合的に提供する体制を整えた。

ドコモFGの狙いと体制

ドコモFGの社長には、ドコモの経営企画部長やNTTで副社長を務めた経歴を持つ丸山誠治氏が就任。通信事業が主力のドコモから切り離すことで、より金融事業に特化した迅速な対応とガバナンス強化を図る。グループ各社の連携を深め、金融同士のシナジー効果を高めるのが目的だ。発足に伴い、新たなサービスも導入される。

一方で、ドコモは早くから金融に着手していた他社と異なり、通信との融合は道半ば。そんなドコモの新体制を読み解く。

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リアルな接点を生かした金融戦略

丸山社長は「決済にとどまらない、デジタル金融サービスを統合的にお客さまに提供する体制が整った」と語る。dカードの上位会員(GOLD、PLATINUM)は1200万人を超え、d払いのコード決済ユーザーも7500万人を突破したドコモFG。これに傘下の住信SBIネット銀行やマネックス証券、ドコモ・ファイナンスを結集させ、それぞれを連携させていく構えだ。

まず、住信SBIネット銀行は「d NEOBANK」としてサービスを提供してきたブランド名を、商号変更に伴い「ドコモの銀行」に刷新。ドコモの店舗で銀行サービスを受けられることを分かりやすくする狙いがある。ドコモの銀行にブランドを変更し、ドコモショップとの連携も強化していく。

丸山社長によると「新たに銀行サービスのライセンスを取得した一部店舗において、8月から銀行業務の開設と初期設定をサポートする」という。さらに「ネット銀行に関するサービスのスマホ教室なども実施していきたい」と述べた。ドコモは1月にマネックス証券の口座開設サポートをドコモショップで実施していたが、銀行はそれ以上の規模で対応店舗を増やしていく。

店舗網拡大の計画

住信SBIネット銀行の圓山法昭社長によると、現在198店舗が確定しており、住信SBIネット銀行のFC店舗と合わせて「270店舗以上で預貯金の口座開設や預け入れが行えるようになる」。さらに5年をかけて、この店舗数をトータルで1500まで拡大していく計画だ。「既にドコモショップのオーナーの方からはご賛同をいただいているため、早ければ年内に1000店舗の達成も実現できる」とペースは速い。

ドコモショップを急ピッチで増やす背景には、住信SBIネット銀行の成功体験がある。圓山社長は「住信SBIネット銀行では住宅ローンで既にナンバー1になっているが、ネットは全体の5%。残りはリアルの店舗で、これがわれわれの成功の方程式だった」と明かす。ドコモFGの傘下に入ることで「同じことが預金でもできると確信している」という。ドコモがグループ全体で持つリアルな接点を活用し、金融事業全体を強化していこうとしているわけだ。

グループ各社のポジション

もともとドコモFGは、業界内で一定のポジションを築いている会社の集合体と言える。住信SBIネット銀行は、預金残高の規模でネット銀行の2位につけており、住宅ローンの融資実行額や残高はネット銀行トップ。後者については、三菱UFJ銀行や三井住友銀行といったメガバンクに匹敵する規模を持ち、現在、取り扱い額は2025年に11兆円を超えている。

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マネックス証券も、SBI証券や楽天証券には及ばないが、口座数は6月末時点で300万弱まで拡大しておりネット証券業界では3位の規模。さらに、ドコモ傘下に入ってから、新規口座開設数を大きく伸ばしている。ドコモFG自身が手がけるdカードも、GOLD、PLATINUMの割合が非常に高く、その数は1100万を超えている。この点は、キャリア系の金融サービスの中でも強みになる。

最大4.5%還元のグループ連携と金融AI構想

ドコモFGは発足と同時に、グループ連携を強化する新サービスを導入する。住信SBIネット銀行の「ドコモの銀行」では、dカードの利用やマネックス証券の口座との連携により、dポイントが貯まる新特典を順次提供。最大で4.5%の還元率を実現するという。また、データを基盤にした「金融AI」の構想も打ち出し、顧客のライフステージに合わせた最適な金融商品の提案を目指す。

丸山社長は「日常生活の決済を起点に各サービスがシームレスに連携し、安心でおトクな金融体験を提供する」と強調。通信と金融の融合を加速し、KDDIやソフトバンクなど競合他社に追い付くことができるか、今後の戦略が注目される。