ドイツの自動車部品大手ZFフリードリヒスハーフェンは、米国拠点の商用車向けブレーキシステム大手WABCOホールディングスの買収を完了した。買収額は約70億ドル(約7500億円)に上る。この買収により、ZFは商用車の自動運転や電動化技術を強化し、EV(電気自動車)シフトが加速する中での競争力向上を目指す。
買収の背景と目的
ZFは従来から乗用車向けトランスミッションやシャシー技術で強みを持つが、商用車分野ではWABCOのブレーキ制御システムや先進運転支援システム(ADAS)の技術を取り込むことで、ポートフォリオを拡充する。WABCOは2019年の売上高が約34億ユーロで、トラックやバス向けのエアブレーキシステムで世界シェア首位。両社の組み合わせにより、自動運転や電動化に対応した統合システムの提供が可能となる。
業界再編の流れ
自動車産業では、EVや自動運転への移行に伴い、サプライヤー間の再編が活発化している。例えば、独コンチネンタルはパワートレイン部門をヴィテスコテクノロジーズとして分離・上場。また、日本でもデンソーが豊田自動織機などと協業を強化するなど、規模拡大や技術獲得を狙った動きが相次ぐ。ZFのWABCO買収もこうした流れの一環とみられる。
ZFのCEOであるウォルフガング・シューベルト氏は「WABCOの技術と人材を統合することで、商用車の安全性と効率性を新たなレベルに引き上げる」とコメントしている。買収後の統合プロセスでは、両社の製品ラインアップの重複を整理し、コスト削減を進める方針だ。
今後の展望
ZFは買収完了後、WABCOを完全子会社化し、商用車技術部門として再編する。2024年までに年間約2億ユーロのシナジー効果を見込む。また、EV向けの電動アクスルや燃料電池システムの開発にも注力し、2030年までに売上高の50%以上を電動化関連製品で稼ぐ目標を掲げる。
一方、競合の独ボッシュやコンチネンタルも同様の戦略を推進しており、業界全体での再編がさらに進む可能性がある。特に中国市場ではEV需要が急増しており、現地サプライヤーとの提携も加速している。ZFは今回の買収を足がかりに、アジア市場でのプレゼンス拡大を図る。



