日本における電気バス(EVバス)の導入が、期待されたペースで進んでいない。国土交通省のデータによれば、2023年度末時点で全国の路線バスに占めるEVバスの割合はわずか0.3%にとどまる。背景には、充電インフラの整備不足と、車両価格の高さが立ちはだかっている。
充電インフラの未整備が足かせに
EVバスを運行するには、バス事業者の車庫や停留所に充電設備を設置する必要がある。しかし、1基あたり数千万円の設置費用がかかる上、電力会社との契約や工事に時間を要する。東京都交通局の担当者は「充電設備の設置には用地確保や近隣住民の理解も必要で、簡単には進まない」と語る。
車両価格はディーゼル比で2倍以上
EVバスの車両価格は、ディーゼルバスの約2倍にあたる1台あたり約6000万円。補助金を活用しても、導入コストの高さが事業者の負担となる。日本バス協会の調査では、会員事業者の約7割が「コスト面が導入の最大の障壁」と回答している。また、航続距離の短さも課題で、1回の充電で走行可能な距離は約200キロメートルと、ディーゼル車の半分以下だ。
補助金頼みの持続可能性に疑問
政府は2025年度までにEVバスを2000台導入する目標を掲げ、1台あたり最大2000万円の補助金を用意する。しかし、補助金に依存した導入は持続可能な運営に疑問を投げかける。早稲田大学の研究チームは「補助金が打ち切られた後も事業者が維持できるビジネスモデルが必要」と指摘する。
海外との比較で浮き彫りになる格差
一方、中国ではEVバスが急速に普及し、2023年には世界のEVバスの約9割が中国で運行されている。欧州でも、ロンドンやパリなどがEVバスの導入を加速。日本は国際的な電動化の流れに乗り遅れているとの指摘もある。
今後の展望と課題
EVバス導入を促進するには、充電インフラの整備に対する公的支援の拡充や、車両価格の低減が不可欠だ。また、自治体と事業者が連携し、運行ルートの最適化や充電スケジュールの効率化など、運用面での工夫も求められる。国土交通省は「2025年度以降も補助制度を継続する方向で検討している」と述べるが、抜本的な解決策は見えていない。



