2026年7月、米国新車市場において、電気自動車(EV)の販売台数が初めてガソリン車を上回った。業界団体の米国自動車協会(AAA)が18日に発表したデータによると、当月のEV販売シェアは51.2%に達し、ガソリン車の48.8%を逆転した。これは、EV普及の長年の目標がついに現実となった瞬間であり、自動車業界の歴史的な転換点と位置づけられる。
価格低下と充電網拡充が追い風に
この急激なシェア拡大の背景には、バッテリーコストの低下によるEV価格の下落がある。AAAの調査担当者、ジェニファー・リード氏は「ここ2年でEVの平均価格は約3割低下し、ガソリン車との価格差は実質的に消滅した」と説明する。また、連邦政府の補助金や州レベルの優遇措置に加え、全米で急速充電器の設置数が前年比で倍増したことも需要を喚起した。特に、テスラの充電規格「NACS」が業界標準として広がり、充電の利便性が大幅に向上した。
ガソリン車販売は過去最低に
一方、ガソリン車の販売は過去最低を記録した。ディーラー各社は在庫調整に追われ、一部では値引き率が20%を超えるケースも見られた。大手自動車メーカーは相次いでガソリン車の生産ラインをEV向けに切り替えており、ゼネラルモーターズ(GM)は2027年までに全車種をEV化する計画を前倒しすると発表した。
充電インフラの課題は残る
ただし、地域によってEV普及率にばらつきがある。カリフォルニア州ではEV比率が70%を超える一方、中西部や南部の農村部では30%未満にとどまる。充電インフラの整備が都市部に偏っているためだ。リード氏は「今後は地方部での充電網拡充が鍵を握る」と指摘する。
環境面での意義
このシェア逆転は、温室効果ガス削減目標の達成にも寄与する。米国環境保護庁(EPA)は、運輸部門からのCO2排出量が前年比15%減少したと試算している。バイデン政権は2030年までにEV販売シェア50%を目標に掲げていたが、それを4年前倒しで達成したことになる。
市場アナリストは、この流れが今後さらに加速すると予測する。国際エネルギー機関(IEA)の報告書によれば、世界全体のEV販売シェアも2026年に初めて50%を超える見通しで、米国の動きはその先駆けとなった。



