トヨタ自動車は、水素を燃料とするエンジン車の実証実験を開始した。同社はこれまで燃料電池車(FCV)の開発を進めてきたが、新たに水素エンジン車の可能性を探ることで、カーボンニュートラル実現に向けた選択肢を広げる。
水素エンジンの仕組みとメリット
水素エンジンは、既存のガソリンエンジンをベースに、燃料を水素に変更したもの。水素を燃焼させると二酸化炭素(CO2)を排出しないため、カーボンニュートラルに貢献できる。トヨタは、この技術を2024年から公道で実証実験を開始し、性能や耐久性、安全性を検証する。
トヨタの技術者は「水素エンジンは、エンジン音や振動など内燃機関の魅力を維持しつつ、環境性能を大幅に向上できる」と述べている。また、既存のガソリンエンジンの生産設備やサプライチェーンを活用できるため、コスト面でも有利とされる。
実証実験の内容と今後の展望
実証実験では、トヨタが開発した水素エンジンを搭載した「GRヤリス」をベースにした車両を使用。一般道での走行データを収集し、エンジンの出力特性や燃費、水素タンクの安全性などを評価する。トヨタは、2025年までに実用化のめどをつけたい考えだ。
水素エンジン車は、燃料電池車と比べてシステムがシンプルで低コストだが、水素の供給インフラが整っていないことが課題。トヨタは、水素ステーションの整備を進める政府やエネルギー企業と連携し、インフラ整備を促進する方針。
カーボンニュートラル戦略における位置づけ
トヨタは、カーボンニュートラル実現に向けて、電気自動車(EV)だけでなく、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)など多様なパワートレインを提供する「マルチパスウェイ戦略」を掲げている。水素エンジン車は、この戦略の一環として位置づけられる。
トヨタの豊田章男社長は「カーボンニュートラルへの道は一つではない。さまざまな技術を追求し、お客様に選択肢を提供することが重要だ」と述べている。水素エンジン車の実用化は、自動車業界の脱炭素化に新たな風を吹き込む可能性がある。



