トヨタ自動車は、電気自動車(EV)戦略を抜本的に見直し、中国市場での巻き返しを図る。同社はこれまでハイブリッド車(HV)に注力してきたが、世界的なEVシフトの加速を受け、方針転換を余儀なくされた。
新たなバッテリー技術で競争力向上
トヨタは、次世代バッテリーとして全固体電池の量産化を2027年から開始する計画を発表。これにより、航続距離を現在のEV比で2倍以上に延ばし、充電時間を10分以内に短縮する目標を掲げる。また、中国のCATLや比亚迪(BYD)との協業を強化し、現地生産の拡大も視野に入れる。
中国市場での苦戦と戦略転換
中国でのEV販売は、2023年に前年比で約20%増加したものの、市場シェアは1%未満と低迷。特に、価格競争が激化する中で、トヨタのEV「bZ4X」は販売が伸び悩んでいる。これを受け、トヨタは2026年までに中国市場向けに10車種以上のEVを投入し、販売台数を現在の10倍に引き上げる目標を設定した。
生産体制の見直しとコスト削減
トヨタは、EVプラットフォーム「e-TNGA」を改良し、生産コストを現行比で30%削減する方針。さらに、中国の合弁会社である広汽トヨタと一汽トヨタの生産ラインをEV対応に切り替え、2025年までに年間50万台のEV生産能力を確保する計画だ。また、部品調達の現地化率を現在の50%から80%に引き上げ、コスト競争力を高める。
競合他社との差別化
トヨタは、EVの差別化要因として、水素エンジン車や燃料電池車(FCV)との組み合わせも模索。特に、商用車向けの水素エンジン技術をEVに応用することで、独自のポジションを確立しようとしている。しかし、専門家からは「EV市場での遅れを取り戻すには、より大胆な投資とスピード感が必要」との指摘もある。
トヨタの佐藤恒治社長は、「EVは重要な柱の一つだが、顧客の多様なニーズに応えるため、HVやFCVを含めたマルチパスウェイ戦略を維持する」と述べ、全面EV化には慎重な姿勢を示している。



