トヨタの燃料電池車「MIRAI」が直面する厳しい現実と未来への課題
トヨタMIRAIが直面する厳しい現実と未来への課題

トヨタ自動車が販売する燃料電池車(FCV)「MIRAI」は、水素を燃料として走る次世代エコカーとして注目を集めてきた。しかし、その普及は思うように進んでいない。2023年の全世界での販売台数は約4000台にとどまり、同じくトヨタの電気自動車(EV)「bZ4X」の約2万5000台と比べても大きく劣る。水素ステーションの整備が遅れていることが最大の壁だ。

水素ステーションの不足が普及の壁に

日本国内の水素ステーションは2024年3月時点で約170カ所しかなく、特に地方では極めて限られている。東京や大阪などの大都市圏でもステーション間の距離が遠く、利便性はガソリンスタンドに遠く及ばない。さらに、水素の価格は1kgあたり約1000円と高く、MIRAIのタンク容量(約5.6kg)を満タンにすると約5600円かかる。これは同程度のガソリン車の燃料費の約2倍に相当する。

コストと航続距離のジレンマ

MIRAIの車両価格は約700万円からと、同じセグメントのガソリン車やハイブリッド車に比べて高額だ。燃料電池システムのコスト低減が進んでいるとはいえ、まだ一般消費者が手を出しやすい価格帯ではない。航続距離は約850km(WLTCモード)とEVより長いが、水素ステーションの少なさがそのメリットを相殺している。トヨタは「水素社会の実現に向けた技術開発を継続する」としているが、現状では普及の道筋は見えにくい。

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EVシフトの波に乗り遅れるリスク

世界的にはEVへのシフトが加速しており、トヨタもEVのラインアップを拡充している。MIRAIは2014年に初代が発売され、2020年に2代目に移行したが、販売は伸び悩んでいる。自動車業界アナリストの山田氏は「FCVは技術的には優れているが、インフラ整備とコスト競争力の両面でEVに大きく後れを取っている。トヨタがFCVに注力し続けることは、経営資源の分散リスクもある」と指摘する。

水素社会の実現には官民連携が不可欠

水素ステーションの整備には巨額の投資が必要で、民間企業だけでは負担が大きい。政府は水素基本戦略を策定し、2030年までに水素供給量を300万トンに拡大する目標を掲げるが、具体的なロードマップは不透明だ。トヨタは商用車向けの燃料電池システムの開発を進めており、MIRAIの技術を活かした大型トラックやバスへの展開を模索している。しかし、乗用車市場でのFCVの存在感は今後も限定的になる可能性が高い。

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