「トヨタの水素エンジン」実用化のメドが立った理由 カギは液体水素と燃料電池の融合
トヨタ水素エンジン実用化メド 液体水素とFC融合がカギ

トヨタ自動車は、水素を燃料とするエンジン(水素エンジン)を搭載した車両の実用化に向けて、大きな進展を遂げている。同社の関係者によると、液体水素の供給技術と燃料電池(FC)システムの融合によって、2027年にも少量生産を開始するメドが立ったという。

液体水素の採用で航続距離を大幅に延伸

トヨタはこれまで、気体水素を用いた水素エンジンの開発を進めてきた。しかし、気体水素は体積当たりのエネルギー密度が低く、航続距離の確保が課題だった。そこで、同社は液体水素の採用に踏み切った。液体水素は気体の約800分の1の体積で、同じタンク容量なら航続距離を大幅に延伸できる。

具体的には、トヨタは2023年に開催されたスーパー耐久シリーズに、液体水素を燃料とする水素エンジン車「カローラクロス H2 Concept」を投入。実走行テストを通じて、液体水素の供給やエンジン制御の技術を磨いてきた。その結果、2024年には液体水素の充填時間を従来の5分の1に短縮することに成功。これにより、実用化へのハードルが大きく下がった。

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燃料電池システムとの融合で効率向上

さらに、トヨタは水素エンジンと燃料電池システムを組み合わせるハイブリッド方式の開発も進めている。水素エンジンは、燃料電池に比べて熱効率が低いという弱点がある。そこで、エンジンの排熱を利用して燃料電池を加温し、燃料電池の発電効率を高めるという技術を採用。これにより、システム全体のエネルギー効率を従来比で約20%向上させる見込みだ。

トヨタの水素エンジン開発責任者は、「水素エンジン単体では限界があるが、燃料電池と組み合わせることで、実用化の可能性が広がった。特に、大型商用車や建設機械など、高出力が要求される用途での需要が期待できる」と述べている。

2027年の少量生産、コスト低減が次の課題

トヨタは2027年を目標に、水素エンジン車の少量生産を開始する計画だ。まずは、水素供給インフラが整備された地域のタクシーや配送車両など、限られた用途から投入する方針。その後、2030年以降に本格的な量産化を目指す。

しかし、実用化には依然として課題も残る。液体水素の製造コストは気体水素の約2倍であり、燃料電池システムのコストも高い。トヨタは、量産効果や技術改良によってコストを低減する必要がある。また、液体水素の貯蔵や輸送に関する安全基準の整備も不可欠だ。

トヨタの水素エンジン開発は、カーボンニュートラル社会の実現に向けた重要な選択肢の一つとして注目されている。同社は、電気自動車(EV)だけでなく、水素エンジンや燃料電池車(FCV)など、多様なパワートレインを併存させる「マルチパスウェイ戦略」を掲げており、水素エンジンはその中核を担う技術の一つだ。

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