トヨタ自動車は、水素エンジン技術の商用車への展開を加速させる方針を明らかにした。同社は2025年までに小型トラックでの実証実験を開始し、2030年までに市場投入を目指すと発表した。これは、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みの一環であり、既に量産化されている水素燃料電池車(FCV)に加え、新たな選択肢を提供する狙いがある。
水素エンジン技術の現状と課題
トヨタは、2021年に開催されたスーパー耐久シリーズに水素エンジンを搭載したカローラを投入し、レース環境での技術検証を進めてきた。水素エンジンは、従来のガソリンエンジンをベースに燃料供給系や燃焼制御を改良したもので、二酸化炭素(CO2)を排出しないことが最大のメリットだ。しかし、水素の製造・貯蔵・供給インフラの整備や、燃焼時の出力向上など、乗り越えるべき課題も多い。
トヨタの水素エンジン開発責任者は、「商用車は走行距離が長く、燃料補給の頻度が高いため、水素エンジンの特性が活かしやすい」と述べ、特に物流分野での需要を見込んでいる。また、同社は水素エンジン車の販売価格について、FCVよりも低く抑えられる可能性があるとしている。
商用車への展開計画
トヨタは、2025年までに小型トラックでの実証実験を開始し、2020年代後半には中型・大型トラックへの展開も視野に入れている。実証実験では、実際の物流ルートでの走行データを収集し、耐久性や燃費、メンテナンス性などを評価する。また、水素供給インフラの整備状況に応じて、導入地域を段階的に拡大する計画だ。
トヨタは、2030年までに水素エンジン車の市場投入を目指しており、初年度は年間数百台の販売を見込んでいる。さらに、2040年までには水素エンジン車の販売台数を年間数万台に引き上げる目標を掲げている。
水素社会実現への貢献
トヨタは、水素エンジン技術の商用車展開を通じて、水素社会の実現に貢献したい考えだ。同社は、水素の製造から供給、利用までのバリューチェーン全体の構築を推進しており、他の企業や自治体との連携も強化している。
トヨタの水素事業担当役員は、「水素エンジンは、カーボンニュートラル実現のための重要な選択肢の一つだ。商用車での実用化を皮切りに、乗用車や産業用機械などへの展開も検討していく」と述べている。



