両社が新会社設立、2025年度事業開始へ
トヨタ自動車と日産自動車が、電気自動車(EV)に使用されるリチウムイオン電池のリサイクル事業で新会社を設立する方針を固めたことが、複数の関係筋への取材で明らかになった。両社は2025年度にも事業を開始し、使用済み電池からリチウムやコバルトなどのレアメタルを効率的に回収する技術を共同で開発する。新会社は、トヨタと日産が折半出資する見通しで、他の自動車メーカーや電池メーカーの参加も呼びかける可能性がある。
背景:EV普及で電池廃棄物急増へ
世界的なEVシフトの加速に伴い、使用済み電池の廃棄量は2030年には年間50万トンを超えると予測されている。現在、日本国内では使用済み電池の多くが埋め立てや焼却処分されており、環境負荷が課題となっている。また、リチウムやコバルトなどのレアメタルは、中国など特定国への依存度が高く、供給リスクも指摘されている。こうした状況を受け、自動車メーカー各社は電池リサイクル技術の確立を急いでいる。
事業内容:レアメタル回収とコスト削減
新会社は、トヨタと日産がそれぞれ開発してきた電池リサイクル技術を持ち寄り、効率的なリサイクルプロセスを確立する。具体的には、使用済み電池を粉砕し、磁力選別や浮遊選別などの手法でレアメタルを分離・回収する技術を採用する。回収したレアメタルは、トヨタと日産のEV用電池の製造に再利用される。これにより、両社はレアメタルの調達コストを最大30%削減できると試算している。また、リサイクル工程で発生する廃棄物を最小限に抑えることで、環境負荷の低減にも貢献する。
トヨタの関係者は「EVの普及拡大に伴い、使用済み電池のリサイクルは業界全体の課題だ。日産と協力することで、技術開発を加速し、持続可能な資源循環システムを構築したい」と話している。日産の広報担当者も「両社の知見を結集し、競争力のあるリサイクル事業を目指す」とコメントしている。
業界への波及効果
トヨタと日産の連携は、自動車業界における電池リサイクルの標準化を促進する可能性がある。現在、各社が個別にリサイクル技術を開発しているが、共同事業によりコスト削減と技術の共有が進むことで、業界全体のリサイクル率向上が期待される。また、政府もEV用電池のリサイクルを推進しており、2023年度にはリサイクルに関するガイドラインを策定する方針だ。今回の新会社設立は、こうした政策とも合致する動きとして注目される。
一方、専門家からは「トヨタと日産が協力することで、リサイクル技術の実用化が加速するだろう。ただ、リサイクルコストをどこまで下げられるかが事業化の鍵を握る」との指摘もある。新会社は、2025年度の事業開始を目標に、具体的な事業計画を2024年度中に策定する予定だ。



