トヨタ自動車と独BMWグループは、水素燃料電池(FC)システムの分野で包括提携に基本合意したと発表した。両社は乗用車向けFCシステムを共同開発し、2030年代までに量産化を目指す。水素社会の実現に向け、技術開発とサプライチェーン構築で協力する。
提携の背景と目的
トヨタは水素燃料電池車(FCV)「MIRAI」の開発・販売で先行してきたが、普及にはコスト低減とインフラ整備が課題。一方、BMWは2021年に水素燃料電池の実証車両を公開しており、両社の技術を融合することで開発期間の短縮とコスト競争力の向上を図る。
今回の提携では、トヨタが持つFCスタックや水素タンクなどの主要部品の技術と、BMWの車両統合技術や量産ノウハウを組み合わせる。両社は2030年までにFCシステムのコストを現状比で半分以下に引き下げる目標を掲げている。
具体的な協業内容
共同開発の対象は、乗用車向けのFCシステム全体。トヨタはFCスタックや高圧水素タンクなどの基盤技術を提供し、BMWはシステムの車両搭載や制御技術を担当する。両社は共同でFCシステムの設計・開発を行い、各社の車種に搭載する計画だ。
また、水素サプライチェーンの構築でも協力。水素の製造・輸送・貯蔵に関する技術やインフラ整備で連携し、水素ステーションの拡充にも取り組む。両社は政府やエネルギー企業とも協力し、水素エコシステムの形成を目指す。
業界への影響と展望
今回の提携は、自動車業界における水素燃料電池技術の普及を加速させる可能性がある。トヨタはこれまで、日野自動車やいすゞ自動車などと商用車向けFCシステムの開発で協力してきたが、乗用車分野での海外大手との連携は初めて。
市場では、テスラなどに代表される電気自動車(EV)が先行する中、水素燃料電池車は航続距離や充填時間の短さで優位性を持つ。両社の提携により、FCVのラインアップ拡充やコスト低減が進み、EVとの競争が激化するとみられる。
トヨタの豊田章男会長は「BMWとともに水素社会の実現に向けて協力できることを嬉しく思う。両社の強みを活かし、魅力的なFCシステムを提供したい」とコメント。BMWのオリバー・ツィプセ会長も「トヨタのFC技術とBMWの車両開発力を組み合わせることで、持続可能なモビリティに貢献できる」と述べている。
今後のスケジュール
両社は今後、最終契約の締結を目指し、具体的な開発計画を策定する。2028年までにFCシステムの量産技術を確立し、2030年代に本格的な量産を開始する目標。また、FCシステムの他社への供給も視野に入れている。



