東洋経済のEVシフト特集:日産の挑戦と中国市場の急変
東洋経済EVシフト特集:日産の挑戦と中国市場

日産のEV戦略:2026年度までに販売比率30%へ

東洋経済の最新特集は、自動車業界のEVシフトを巡る動きを詳細に報じている。特に日産自動車は、2026年度までに世界販売に占めるEVの比率を30%に引き上げる目標を掲げている。これは同社が2021年に発表した長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」の一環であり、2030年度までにEVとe-POWERを合わせた電動車両の販売比率を50%以上にするという野心的な目標の前段階と位置づけられる。

日産は現在、リーフやアリア、サクラなどEVモデルを展開しているが、さらなる投入を計画している。2024年度には中国市場向けに新型EVを投入予定で、2025年度までに欧州でも2モデルを追加する方針だ。しかし、EVシフトのスピードは想定以上に速まっており、日産の計画は十分かどうか疑問視する声も業界内にはある。

中国市場の急変:BYDが日本メーカーを圧迫

特集は中国市場の急変を重要なトピックとして取り上げている。中国のEV大手BYDは、2023年に世界販売で前年比62%増の302万台を記録し、テスラを抜いて世界最大のEVメーカーとなった。BYDは低価格帯から高級車まで幅広いラインアップをそろえ、日本メーカーが強みとしてきたハイブリッド車(HV)の市場も蚕食し始めている。

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中国自動車工業協会のデータによると、2023年の中国新車販売に占めるEVの割合は約25%に達し、前年の約20%から上昇。一方、日本メーカーの中国市場シェアは2020年の約23%から2023年には約17%に低下している。日産の中国販売台数は2023年に前年比24%減の79万台と大きく落ち込み、特にEVシフトの遅れが響いたとみられる。

トヨタの戦略:全方位路線で巻き返し

一方、トヨタ自動車はEVだけでなく、HVや水素エンジン車など複数の選択肢を用意する「全方位戦略」を掲げている。同社は2026年までにEVの世界販売を150万台にする目標を掲げるが、同時にHVの販売も拡大。2023年のHV販売は世界で約340万台に達し、特に北米で好調だ。

しかし、トヨタの戦略には批判もある。環境団体からは「EVシフトを遅らせている」との声が上がり、投資家からもより積極的なEV投資を求める意見が出ている。東洋経済の特集では、トヨタの戦略が中長期的に正しいのかどうか、専門家の間でも意見が分かれていると指摘している。

部品メーカーへの影響:デンソーやアイシンも対応迫られる

EVシフトは完成車メーカーだけでなく、部品メーカーにも大きな影響を与えている。デンソーはエンジン関連部品の需要減を見込み、2025年までにエンジン部品の生産能力を20%削減する計画を発表。一方、EV向けの熱管理システムやパワー半導体など新規事業への投資を加速している。

アイシンも同様に、トランスミッションなど従来の駆動系部品からEV向けのeアクスル(電動駆動モジュール)へのシフトを進めている。同社は2025年までにeアクスルの生産能力を現在の3倍に引き上げる方針だ。部品メーカーの生き残りをかけた構造改革は、今後さらに加速するとみられる。

政府の政策:2035年までに新車販売を全て電動車に

日本政府は2021年に公表した「グリーン成長戦略」で、2035年までに新車販売を全て電動車(EV、HV、FCVなど)にする目標を掲げている。しかし、EV充電インフラの整備は遅れており、2023年末時点の急速充電器の設置数は約3万基と、2030年目標の30万基には遠く及ばない。

経済産業省は2024年度から、充電インフラ整備に対する補助金を拡充する方針で、高速道路のサービスエリアや商業施設への設置を促進する。また、EV購入に対する補助金も継続するが、予算には限りがあり、効果的な施策が求められている。

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消費者の反応:価格と航続距離が課題

消費者のEVに対する関心は高まっているが、購入には依然として価格の高さと航続距離の不安が壁となっている。日本自動車工業会の調査によると、EVの購入を検討する人のうち、約7割が価格が300万円以下であれば購入したいと回答。しかし、現状では補助金を活用しても多くのEVは400万円以上であり、価格低下が急務だ。

航続距離については、1回の充電で走行できる距離が500km以上を求める声が多く、特に寒冷地での性能低下が懸念されている。各社はバッテリー技術の改良を進めており、日産は2028年までに全固体電池を搭載したEVを投入し、航続距離を現在の2倍にする計画だ。