電気自動車(EV)の世界的な普及に伴い、車載半導体の需要構造が大きく変化している。東洋経済の分析によると、従来のエンジン車に比べEVは半導体の使用量が約2倍に増加し、特にパワー半導体やセンサー類の需要が急拡大している。この潮流は日本企業にとって新たなビジネスチャンスをもたらす可能性がある。
EV1台あたりの半導体搭載数が急増
従来のガソリン車では、1台あたりに搭載される半導体の数は約500~600個程度だった。しかし、EVではパワートレインやバッテリー管理システム、モーター制御などに多数の半導体が必要となるため、搭載数は1000個を超えるケースも珍しくない。東洋経済の試算では、2030年には世界の車載半導体市場規模が2020年比で約2倍の6兆円を超える見通しだ。
日本企業の強み:パワー半導体とセンサー技術
特に注目されるのが、電力制御に不可欠なパワー半導体だ。SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)といった次世代材料を用いたパワー半導体は、EVの航続距離延長や充電時間短縮に貢献する。東洋経済の記事では、「日本企業はSiCパワー半導体の分野で世界シェアの約3割を占めており、技術的優位性がある」と指摘している。また、車載カメラやLiDARに使われるイメージセンサーでも、ソニーなど日本企業が強みを持つ。
課題は価格競争と生産能力の拡大
一方で、課題も存在する。欧州や中国の半導体メーカーが積極的に投資を進めており、価格競争が激化している。さらに、半導体不足の影響で自動車メーカーが生産調整を余儀なくされるなど、供給網の脆弱性も露呈した。東洋経済は「日本企業は生産能力の増強とともに、自動車メーカーとの連携強化が不可欠」と分析している。
政府の支援と産学連携の動き
日本政府も半導体戦略を強化しており、2023年度には半導体関連予算に約1.3兆円を計上。国内での生産拠点確保や研究開発支援を進めている。また、産学連携による人材育成も加速しており、東京大学や東北大学などが半導体研究センターを設立する動きがある。
今後の展望:EV市場拡大が日本半導体産業の起爆剤に
世界のEV販売台数は2022年に約1000万台を超え、2030年には3000万台以上に達すると予測されている。この成長は、車載半導体市場にとって大きな追い風となる。東洋経済は「日本企業が技術力を活かし、EVシフトで変化する半導体需要を捉えられれば、成長の起爆剤になり得る」と結論付けている。



