東京外国語大学(東京外大)は6月23日、同大学が2人体制で運営する少人数語学科を1人体制に縮小し、AIに代替させようとしているとの噂がSNSで広まったことについて、「教員を生成AIに置き換える考えはない」とする声明を、石井明学長名で発表した。
噂の発端は教職員組合のニュースレター
発端は、同大学の教職員組合が6月18日に発行したニュースレターに、少人数語学科の有職教員が投稿した「少人数語学科の縮小は大学の自由だ」という記事だった。記事によると、大学執行部が2025年12月、ラオス語科、カンボジア語科など専任教員2人体制で運営する少人数語学科の名前を挙げた上で、「現職の教員が退職後、特定外国人教員とAIを活用して1人体制でも運営できるようにする方針を示した」という。
この情報がX(旧Twitter)上で拡散して反響が広がり、「東京外大でしか学べない少人数語学科こそ残すべき」「データが少ない少数言語こそAIで代替できないのではないか」といった意見が寄せられるなど、同大学の方針に関心が集まった。
学長声明:現行28専攻語体制の維持を検討
これを受けて東京外大は23日、学長名で声明を発表。「今後、財務運営が今より難しくなると予想される」と認めつつ、「現行28専攻語体制の縮小を考えていない」と断言した。一方で、「現有教員数の将来的な減少を見越し、その状況下でも28専攻語体制を維持する具体的な方法について検討しているのは事実」とも述べ、教員数の減少を見込んでいることを認めた。
AI活用については、「教員を生成AIに置き換えていくという考えはない」としながらも、「学生の自律学習を支援する手段としてAI活用の可能性を模索する意義はある」とし、現場の教員と意見交換しながら具体的な施策を判断していくという。
追加声明:根拠ない誹謗中傷への法的措置も示唆
24日には追加の声明を発表。「学生、教員、教育研究内容に対して、事実に基づかない誹謗中傷や、著しく差別的な発言を繰り返している特定のアカウントが確認されている」とし、不当な攻撃が継続される場合には発信者の特定を含め、法的措置を視野に入れた対応を取る考えを示した。
東京外大は、ウクライナ語入門講座をオンラインで開講するなど、国際的な教育活動も積極的に行っている。今回の騒動は、大学の厳しい財務状況と教育の質維持の難しさを浮き彫りにした。



