スズキの新型軽乗用BEV「e SKY」のプロトタイプを試乗した。ガソリン車から自然に乗り換えられる安心感を生む、徹底した“普通”の仕上がりに賛美が集まっている。
シート設計へのこだわり
グレーと黒色の2トーンカラーで彩られた前席シートは、見た目には普通だが、生地の手触りが良く、座ってみればしっかりとした面圧分布設計がなされている。サイドサポートも高く、コース上のパイロンスラロームではしっかり体が支えられ安心感を抱けた。
「基本骨格にはスズキ内部で流用している部材もありますがe SKY向けに新設計したところも数多くあります。軽自動車にそこまで手間をかけるのかとの意見もありましたが、やりきりました!」と、スズキの梅澤心さん(四輪プラットフォーム設計部・シート設計課)は語る。
ボディスペックとバッテリー性能
公開されているe SKYプロトタイプのボディスペックは、全長3395mm×全幅1475mm×全高1625mm、ホイールベース2460mm、トレッドは前1285mm、後1295mm、最低地上高140mm、最小回転半径4.4m、車両重量1030kgだ。
二次バッテリーは正極材にリン酸鉄リチウムを採用したLFPタイプで、容量は26.0kWh。満充電で走行可能な距離(AER)は310km。97Wh/km(10.3km/kWh)という公開数値と試乗した感覚から、駆動モーターの常用域はそれほど高回転化されていないようだ。
タイヤのキャパシティへの懸念
唯一気になったのがタイヤのキャパシティだ。これはe SKYだけでなく14インチタイヤを履く軽自動車のBEV全車に言えることで、荷重指数ではなく走行性能を左右する動的質感での余裕が少ない。
試乗したプロトタイプの装着タイヤは165/65R14だったが、サクラGグレードやラッコのように15インチモデルの用意があるのかもしれない。
「お客様にお使いいただきたい装備を全部搭載し、車両重量は1030kgに抑えました。しかし、サーキットでお乗りいただいた今回のプロトタイプでは、タイヤのキャパシティに余裕がないと感じられたシーンがあったかもしれません。そこは認識しています」(野寺さん)。
スズキ初の量産型軽乗用BEVであるe SKYは、湖西工場(静岡県湖西市)で生産される。



