インテージの自動車アナリスト三浦太郎氏は、ベイズ統計を応用したナイーブベイズ分類モデルを用いて、新車購入者6万7285人のデータから「電気自動車(BEV)を購入する人」の特徴を推計した。その結果、年収や環境意識だけでは不十分で、住居形態や自宅の充電環境が重要な要素であることが浮き彫りになった。
分析の概要とモデル
分析対象は2023年1月から2026年4月までに新車を購入した6万7285人で、そのうちBEV購入者は1577人(2.3%)だった。目的変数はBEV購入(1)か非BEV購入(0)とし、説明変数として住居形態、世帯年収、環境意識、テクノロジー志向、自宅充電設備の有無、太陽光パネルの有無の5つを使用。ナイーブベイズ(ラプラス平滑化付き)により、各属性が独立に出現すると仮定して事後確率を推計した。
6つのペルソナで見えた購入確率の差
モデルは6つのペルソナを設定。最もBEV購入確率が高かったのは「戸建て住宅・自宅充電設備あり・太陽光パネルあり・世帯年収1000万円以上・環境意識高・テクノロジー志向高」のペルソナで、購入確率は約15.2%だった。一方、最も低かったのは「マンション・自宅充電設備なし・太陽光パネルなし・世帯年収600万円未満・環境意識低・テクノロジー志向低」で、確率は0.3%未満だった。
発見①:お金と意識だけでは不十分
年収が高く環境意識が高くても、マンション住まいで自宅充電設備がない場合の購入確率は約2.1%にとどまった。三浦氏は「年収や環境意識だけではBEV購入を十分に説明できない。インフラ条件が大きく影響する」と指摘する。
発見②:マンションでも充電設備があれば3.6倍に
マンション居住者でも、自宅充電設備がある場合の購入確率は約7.6%と、設備がない場合の約2.1%に比べて3.6倍に跳ね上がった。充電の利便性が購入意思決定に強く作用していることが示された。
発見③:太陽光パネルが「最後の一押し」に
戸建て住宅で自宅充電設備がある場合、太陽光パネルがあると購入確率は約12.3%から約15.2%へと約1.2倍上昇。三浦氏は「太陽光パネルによる自家発電が、ランニングコスト削減や環境意識と結びつき、BEV購入の後押しになっている」と分析している。
今回の分析はあくまでモデル上の推計値であり、実購買を保証するものではないが、BEV普及には充電インフラの整備が鍵となることが改めて確認された。



