シンガポールで電気自動車(EV)の普及が急速に進んでいる。2023年の新車販売に占めるEVの比率は18%に達し、前年の3.7%から大幅に上昇した。この急成長の背景には、政府による手厚い購入補助金と充電インフラの整備がある。
政府の強力な推進策
シンガポール政府は、2030年までに全ての新車販売をクリーンエネルギー車に切り替える目標を掲げている。この目標達成に向け、EV購入時の登録料減免や、購入税の還付など、総額で最大4万5000シンガポールドル(約500万円)の補助金を提供。これにより、EVの価格がガソリン車と同等かそれ以下になるケースも出ている。
また、充電インフラの整備も急ピッチで進む。2023年末時点で公共の充電ポイントは約4000基に達し、2025年までに6万基に増やす計画だ。政府は集合住宅や商業施設への充電器設置を義務付けるなど、規制面でも後押ししている。
消費者の意識変化
補助金と充電網の拡充により、消費者のEVへの関心が高まっている。シンガポールの自動車ディーラーによると、2023年のEV販売台数は前年の5倍以上に増加。特に中国メーカーのBYDやテスラのモデルが人気を集めている。
シンガポール在住のIT企業勤務の男性(35歳)は「補助金のおかげでガソリン車と価格差がほとんどなく、維持費も安い。充電スタンドも増えて安心して乗れる」と話す。
今後の課題
一方で、充電インフラの地域格差や、電力網への負荷増大といった課題も浮上している。政府は2030年までに充電ポイントを6万基に増やす計画だが、特に高層住宅が多いエリアでの設置が遅れている。また、EVの普及に伴い、電力需要がピーク時に最大10%増加するとの試算もあり、送電網の強化が急務となっている。
シンガポールエネルギー市場管理局(EMA)は「スマート充電技術の導入や、蓄電池システムの活用など、電力網の安定化策を検討している」とコメントしている。



