サウジアラムコは、日本国内で電気自動車(EV)向けの潤滑油を生産する計画を明らかにした。日産自動車との協業により、2025年までに量産化を目指す。これは、世界的なEV市場の拡大に対応し、脱炭素社会の実現に向けた取り組みの一環である。
サウジアラムコの日本進出とEV戦略
サウジアラムコの日本法人であるサウジアラムコジャパンは、横浜市に研究開発拠点を設置し、EV用潤滑油の開発を進めている。同社は、従来の内燃機関車向け潤滑油で培った技術を応用し、EVのモーターやギアボックスに最適な潤滑油を開発中だ。サウジアラムコのモハメド・アル・ガムディ上級副社長は、「日本は自動車技術の最先端であり、EV市場でも重要な役割を果たす。当社の潤滑油技術で日本のEV産業に貢献したい」と述べている。
日産との協業と量産化への道筋
日産自動車は、サウジアラムコと共同でEV用潤滑油の性能評価を行い、2025年までに量産化を目指す。日産のEV「リーフ」や新型EV「アリヤ」に採用される可能性がある。日産の技術開発担当役員は「サウジアラムコの潤滑油技術は、EVの効率向上と長寿命化に寄与する。協業を通じて、より高性能なEVを提供したい」とコメントしている。量産化の初期段階では、年間数万リットルの生産を見込む。
EV市場の拡大と潤滑油需要の変化
国際エネルギー機関(IEA)によると、2023年の世界のEV販売台数は約1400万台に達し、前年比35%増加した。日本でもEV販売が伸びており、2023年の販売台数は約8万5000台と過去最高を記録した。EVの普及に伴い、潤滑油の需要構造も変化している。従来のエンジンオイルに代わり、モーターやギアボックス向けの専用潤滑油の需要が拡大している。サウジアラムコは、この需要を取り込み、日本市場でのシェア拡大を狙う。
脱炭素社会への貢献と今後の展望
サウジアラムコは、2030年までに二酸化炭素排出量を50%削減する目標を掲げている。EV用潤滑油の生産は、その一環として位置づけられている。同社は、日本国内での生産拠点を将来的に拡大し、アジア市場への輸出も視野に入れている。自動車業界アナリストは「サウジアラムコの参入は、EV用潤滑油市場の競争を激化させる。既存の潤滑油メーカーにとっては脅威となる一方、EVユーザーにとっては選択肢が広がる」と分析している。
サウジアラムコは、世界最大の石油会社であり、原油生産量は日量約1000万バレルに上る。同社は、脱炭素化に向けて、水素やアンモニアなどの新エネルギー事業にも積極的に投資している。日本でのEV用潤滑油生産は、同社のエネルギー転換戦略の重要な一歩となる。



