パナソニックホールディングスは、電気自動車(EV)向け電池事業で中国市場への本格的な逆襲を開始する。同社は次世代型円筒電池「4680型」の量産に乗り出し、従来の顧客であるテスラに加え、中国のEVメーカーにも供給を拡大する方針だ。2025年までに生産能力を現在の3倍に引き上げ、中国の電池大手である宁德時代(CATL)やBYDに対抗する。
4680型電池の量産開始
パナソニックは和歌山工場で4680型電池の量産を開始した。この電池は直径46mm、高さ80mmの大型円筒型で、従来の2170型に比べてエネルギー密度が約5倍、生産コストを半分に抑えられるという。同社はこの電池をテスラの次世代EVに供給するだけでなく、中国の複数のEVメーカーにも販売する計画だ。
パナソニックの電池事業責任者は「4680型は当社の技術力を結集した製品で、中国市場でも競争力がある」と述べている。同社はこれまでテスラ向けに2170型電池を供給してきたが、中国市場ではシェアを伸ばせずにいた。
中国市場での戦略
中国は世界最大のEV市場であり、2023年のEV販売台数は約950万台に達した。しかし、パナソニックの中国でのEV電池シェアはわずか2%程度で、CATLの45%、BYDの20%に大きく差をつけられている。同社は4680型の投入でシェアを10%以上に引き上げることを目標とする。
パナソニックは中国での生産拠点として、遼寧省大連市に工場を持ち、ここで4680型の生産も検討している。また、現地の材料メーカーとの提携を強化し、サプライチェーンを最適化する計画だ。
競争環境の変化
中国の電池メーカーは価格競争力を武器に市場を支配してきたが、パナソニックは高エネルギー密度と安全性で差別化を図る。4680型は発熱を抑える構造で、航続距離を延ばせることから、高級EV向けに需要が見込まれる。
一方、テスラも自社で4680型の生産を進めており、パナソニックとの競合が生じる可能性がある。しかし、パナソニックは「テスラは重要なパートナーであり、協力関係を継続する」と強調する。
今後の展望
パナソニックは2025年までにEV電池の生産能力を年産150GWhに拡大する計画で、うち4680型が半分を占める見通しだ。同社はさらに次々世代の全固体電池の開発も進めており、2028年の実用化を目指す。
アナリストは「パナソニックの中国戦略は遅きに失した感があるが、4680型の技術力は評価できる。中国メーカーとの価格競争に巻き込まれないよう、高付加価値市場に絞るべきだ」と指摘する。パナソニックの逆襲が成功するかは、今後の量産体制と顧客開拓にかかっている。



