大阪メトロが昨年の大阪・関西万博などに向けて購入したEV(電気自動車)バス190台の使用を断念した問題で、同社がまとめた調査報告書の概要が、関係者への取材でわかった。実績の少ない企業から購入したことについて、「安全リスクに対する認識が不十分だった」と結論づけた。報告書は17日午後に公表される。
EVバス購入の経緯と問題点
大阪メトロは、EVバス開発・販売会社「EVモーターズ・ジャパン」(EVMJ、北九州市)から中国製のEVバス190台を購入し、うち150台を万博で使用した。閉幕後は路線バスなどに転用する計画だったが、万博開催中に壁や縁石に接触する事故が発生。今年1月に始めた独自の点検でも欠陥が見つかったため、3月末に全車両の継続使用を断念すると発表した。2019年創業の新興企業だったEVMJを購入先に決めた経緯などについて社内調査を進めていた。
報告書の指摘内容
読売新聞が入手した報告書の概要では、「実績の乏しいEVMJから調達することには一層の慎重さが求められたが、製造体制や品質管理状況などのリスクを十分に検証した経過は確認できなかった」と指摘。EVバス導入を担った大阪メトロの交通事業本部からは、社長に対する内部説明の資料で、導入実績の少なさがリスクとして挙げられていたが、「社長から交通事業本部に対し、リスクの対応状況について確認をした事実は認められなかった」という。
問題の背景として、「万博輸送のために全台EVバスを購入するという特定の方針・結論の実現を妨げたり、覆したりするような検討は躊躇される雰囲気が全社的にあったように思われる」と指摘した。
政治的压力や接待は否定
一方、購入先を決める過程で、「政治的な圧力やEVMJから接待を受けた事実は認められなかった」とした。
購入金額と補助金問題
大阪メトロは購入金額を公表していないが、大阪市の試算では、万博で使用した150台分で計約75億円に上る。購入には国や府・市からの補助金40億円超が充てられたとみられる。大阪メトロは補助金返還の手続きを進める一方で、EVMJに購入代金の返還を求めている。EVMJは4月、57億円の負債を抱え、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。
経営責任の明確化
大阪メトロは16日、経営責任を明確にするとして、購入当時に社長だった河井英明会長が辞任し、相談役に退いたと発表していた。



