日産自動車は、中国市場での販売低迷を受け、現地生産能力を最大30%削減する方針を固めた。関係者によると、江蘇省常州にある工場の閉鎖も検討しており、これは日産にとって中国で初めての工場閉鎖となる可能性がある。
生産能力削減の背景
日産は中国で現在、年間約160万台の生産能力を持つが、2023年の販売台数は約79万台にとどまった。稼働率は50%を下回っており、生産能力の過剰が深刻な課題となっている。特に、EVシフトの加速でガソリン車の需要が減少する一方、中国の地場メーカーが低価格EVを投入し、競争が激化している。
日産は2023年に中国でEV「アリア」を発売したが、販売は伸び悩んでいる。中国汽車工業協会によると、2023年の中国新車販売に占めるEVの割合は約25%に達したが、日産のEV販売比率は5%未満と低迷している。
工場閉鎖の詳細
閉鎖が検討されている常州工場は、東風汽車との合弁会社が運営し、2020年に稼働を開始した。年産能力は約13万台で、主に小型SUV「キャシュカイ」を生産している。しかし、同工場の稼働率は2023年時点で約30%と推定され、生産停止が避けられない状況だ。
日産は中国で8つの工場を運営しており、今回の削減計画では、他の工場でも生産ラインの統廃合を進める。日産の広報担当者は「中国市場の変化に対応するため、生産体制の最適化を検討している」とコメントした。
中国市場での苦戦
日産の中国販売は2017年の約152万台をピークに減少傾向が続く。2023年は前年比16%減の79万台となり、特にガソリン車の需要減退が響いた。中国市場では、比亜迪(BYD)などの地場メーカーがEV販売を急拡大しており、日産を含む外資系メーカーはシェアを奪われている。
日産は2024年3月期の中国事業で約1000億円の営業損失を計上する見通し。同社は2026年までに中国でEV6車種を投入する計画だが、市場環境の厳しさから計画の見直しも検討している。
業界全体への影響
日産の生産削減は、中国市場で同様の課題に直面する他社にも影響を与える可能性がある。ホンダや三菱自動車も中国生産の見直しを迫られており、外資系メーカーの中国戦略は転換点を迎えている。また、生産削減に伴い、部品メーカーなどサプライチェーン全体への波及が懸念される。
日産は今回の削減で、中国事業の固定費削減を目指す。同社は2024年度に中国で約1000人の人員削減も検討しており、事業構造の抜本的な改革を進める方針だ。



