日産自動車の軽電気自動車(EV)「サクラ」が、発売から約1年で累計販売台数5万台を突破した。この小型EVは、軽自動車市場においてEVシフトを加速させる存在となっている。
軽EV市場の開拓者
サクラは2022年5月に発売され、軽自動車としては初の量産EVとして注目を集めた。価格は233万円からと、一般的な軽自動車より高めだが、補助金を活用すれば実質200万円を切るケースもある。日産の広報担当者は「想定以上の反響で、特にガソリン車からの乗り換え需要が大きい」と語る。
販売台数の内訳を見ると、約7割が個人ユーザーで、そのうち半数以上が初めてEVを購入した層だという。これは、サクラがEV入門車として機能していることを示している。
ガソリン車からの乗り換え促進
サクラの成功は、軽自動車市場全体に影響を与えている。従来、軽自動車は燃費が良く維持費が安いため、EVへの移行が遅れると見られていた。しかし、サクラの登場により、その認識が変わりつつある。
実際、サクラのユーザーの多くは、以前はガソリン車の軽自動車に乗っていた。日産の調査によれば、サクラ購入者の約6割が軽自動車からの乗り換えで、そのうち8割以上が「燃費よりも電気代の安さに魅力を感じた」と回答している。
また、サクラは航続距離が180kmと、日常使いには十分な性能を持つ。充電インフラの整備も進んでおり、ユーザーの満足度は高い。
競合他社の動き
サクラの成功を受け、他メーカーも軽EV市場に参入し始めている。三菱自動車は2023年夏に軽EV「eKクロスEV」を発売し、ダイハツ工業も2024年以降に軽EVを投入する計画だ。これにより、軽EV市場はさらに活性化すると予想される。
一方で、課題もある。軽EVはバッテリーの搭載スペースが限られるため、航続距離の延長が難しい。また、価格をさらに下げるためのコスト削減も必要だ。日産は、サクラの次世代モデルでは航続距離を200km以上に伸ばす計画で、軽EVの性能向上に取り組んでいる。
今後の展望
サクラの成功は、日本のEV普及において重要なマイルストーンとなった。軽自動車は日本の自動車市場の約4割を占めており、このセグメントでのEV化が進めば、日本のCO2排出量削減に大きく貢献する。
日産は、2030年度までに電動車両の販売比率を50%以上にする目標を掲げており、サクラはその達成に向けた重要な柱となる。同社は、サクラの販売を通じて得た知見を活かし、今後も軽EVのラインアップを拡充していく方針だ。



