日産自動車とホンダが経営統合に向けた協議を開始する方向で最終調整に入ったことが、複数の関係者への取材で明らかになった。両社の統合が実現すれば、販売台数で世界3位クラスの巨大自動車グループが誕生する。
EVシフトの遅れが統合の背景に
世界的なEV(電気自動車)シフトの加速に伴い、従来のエンジン車中心のビジネスモデルでは競争力を維持することが難しくなっている。日産はリーフで先行したものの、近年はEV販売で伸び悩んでいた。ホンダもEV専用プラットフォームの開発が遅れ、中国市場ではBYDなど新興メーカーにシェアを奪われている。
両社の2024年度上半期(4~9月)の連結営業利益は、日産が前年同期比で90%減の約330億円、ホンダが約20%減の約7400億円と、いずれも厳しい業績が続いている。特に日産は米国市場での販売不振に加え、中国市場での販売が前年比で約10%減少しており、抜本的な構造改革が急務となっている。
統合協議の具体的な内容
関係者によると、両社は共同持ち株会社を設立し、その傘下にそれぞれの事業を統合する案が有力視されている。株式移転比率などの詳細は今後詰められるが、すでに複数の金融機関が統合に向けたアドバイザリー業務を受託しているという。
統合が実現すれば、研究開発費の効率化や部品の共通化によるコスト削減効果が見込まれる。特に、EVや自動運転技術の開発には多額の投資が必要であり、両社の技術リソースを統合することで競争力の強化につながると期待されている。
日産の内田誠社長は「あらゆる可能性を検討している」と述べるにとどめているが、ホンダの三部敏宏社長は「協業の可能性を広げていく」と発言しており、両社のトップが統合に前向きな姿勢を示している。
業界再編の波が加速
自動車業界では、EVシフトやソフトウェア定義車両(SDV)への対応を巡り、グローバル規模での再編が加速している。2023年には米フォード・モーターと独フォルクスワーゲンがEV分野で提携を強化。中国でも、比亜迪(BYD)がテスラを抜いて世界最大のEVメーカーとなるなど、競争が激化している。
日本勢では、トヨタ自動車がEV専用工場の新設を計画する一方、日産とホンダは2024年3月にEV向けソフトウエアや部品の共通化で協業することで合意していた。今回の統合協議は、その延長線上にあるとみられる。
統合の課題と今後の展望
統合には乗り越えるべき課題も多い。両社の企業風土の違いや、重複する拠点の整理、雇用の調整などが難航する可能性がある。また、日産と仏ルノーの資本関係も複雑で、ルノーが日産の筆頭株主であることから、統合にはルノーの同意が必要となる。
アナリストの間では、統合が実現すれば年間数百億円の相乗効果が期待できるとの声がある一方、統合プロセスに時間がかかることでEV市場での競争に遅れをとるリスクも指摘されている。
両社は今後、正式な協議に入り、2025年をめどに統合の可否を判断する見通しだ。日本の自動車業界に激震が走る中、今後の動向が注目される。



