メルセデス・ベンツは、2025年までに次世代バッテリー技術を搭載した電気自動車(EV)を市場に投入し、航続距離を現行比で約30%向上させる計画を明らかにした。同社の技術責任者であるマルクス・シェーファー氏は、固体電池や新しいリチウムイオン電池の採用により、エネルギー密度を大幅に高めると述べている。
固体電池への移行がカギ
現在のリチウムイオン電池に代わる固体電池は、電解質を固体化することで安全性とエネルギー密度を向上させる。メルセデスは、この技術を2025年までに実用化し、まずは高級モデルから搭載する計画だ。シェーファー氏は「固体電池は航続距離の飛躍的な向上をもたらすだけでなく、充電時間の短縮にも寄与する」と強調した。
具体的には、エネルギー密度を1リットルあたり現在の約700ワット時から、2025年までに1000ワット時以上に引き上げる目標を掲げる。これにより、1回の充電で走行可能な距離は、現行の約500キロメートルから650キロメートル以上に延びる見通しだ。
競争激化するEV市場
世界のEV市場では、テスラや中国のBYDなどが先行する中、欧州メーカーも技術開発を加速させている。メルセデスは2022年にEV販売台数で約11万7000台を記録したが、テスラの約131万台には遠く及ばない。新バッテリー技術の投入で、巻き返しを図る。
また、メルセデスは独自のバッテリーセル生産にも乗り出し、サプライチェーンの安定化を図る。2023年にはドイツ・カメンツにバッテリー工場を稼働させ、年産能力を60ギガワット時まで拡大する計画だ。これにより、コスト削減と技術開発のスピードアップを狙う。
環境規制への対応
欧州連合(EU)は2035年までにガソリン車の新車販売を事実上禁止する方針を打ち出しており、自動車メーカーはEVシフトを迫られている。メルセデスは2030年までに全販売台数の50%をEVにする目標を掲げ、バッテリー技術の革新はその達成に不可欠と位置づける。
シェーファー氏は「当社のEV戦略の根幹はバッテリー技術にある。固体電池の量産化は、持続可能なモビリティの実現に向けた重要なマイルストーンだ」と述べ、技術開発への自信を示した。



