世界的な脱炭素化の流れを受け、自動車業界は電気自動車(EV)へのシフトを加速している。しかし、日本企業は部品調達や電池調達で岐路に立たされている。従来の内燃機関車からEVへの移行は、サプライチェーン全体の再構築を迫るものだ。
部品調達の課題
EVではエンジンやトランスミッションなど主要部品が不要になる一方、モーターやインバーター、バッテリーなど新たな部品が必要となる。日本企業はこれまで内燃機関関連部品で強みを発揮してきたが、EV向け部品では海外勢に遅れを取る可能性がある。特に、電池調達は最大の課題だ。リチウムイオン電池の生産は中国や韓国企業が主導しており、日本企業は安定調達に向けた戦略が求められる。
電池調達の現状
日本政府は2035年までに新車販売を全て電動車にする目標を掲げるが、電池の国内生産能力は十分ではない。パナソニックやGSユアサなどが生産を拡大しているものの、コスト競争力で中国企業に劣る。また、レアメタルやリチウムなどの資源確保も課題だ。日本企業は資源国との連携強化やリサイクル技術の開発を進めているが、道半ばである。
さらに、EVシフトは部品メーカーの淘汰を招く可能性がある。例えば、エンジン部品を主力とする中小企業は、事業転換を迫られている。自動車産業は裾野が広く、雇用への影響も懸念される。
競争力維持へ
日本企業が競争力を維持するには、電池調達の多角化や次世代電池の開発が不可欠だ。全固体電池など革新的技術の実用化が期待される。また、部品メーカー同士の連携やM&Aも加速するだろう。自動車メーカーは、従来の系列を超えたサプライチェーン再編を進めている。
トヨタ自動車は、EV向け部品の共通化やモジュール化を推進し、コスト低減を図る。ホンダはGMとの提携を強化し、電池調達を共同で行う。日産自動車は、中国企業との協業を拡大している。各社は生き残りをかけた戦略を模索している。
脱炭素化の流れは不可逆的であり、日本企業は迅速な対応を迫られている。部品調達と電池調達の課題を克服しなければ、世界市場での地位を失う恐れがある。



