いすゞ自動車はこのほど、神奈川県藤沢市の藤沢工場内に建設を進めてきた電動開発棟「The EARTH lab.」の稼働を開始した。同施設は、いすゞグループの商用電動車開発の中核拠点として位置づけられ、2030年以降の普及期を見据えた競争力強化を狙いとする。
マルチパスウェイ戦略と開発基盤強化
いすゞグループは2050年のカーボンニュートラル社会実現に向け、マルチパスウェイ(全方位)方針のもと、ユーザーにとって経済合理性が高く使い勝手の良い動力源を提案・提供しながら、商用車のカーボンニュートラル化を推進している。その実現には、バッテリー電気自動車(BEV)や燃料電池自動車(FCV)など多様なカーボンニュートラル対応車の開発加速と、それを支える開発基盤の強化が不可欠とされる。
The EARTH lab.は、2023年11月に公表した電動車開発基盤強化の取り組みの一環として整備された。バッテリー、モーター単体、eAxleなどの電動パワートレイン、エネルギー・熱マネジメントなど、電動車開発に不可欠なシステム・技術を開発初期段階から評価・検証する機能を備える。これにより、開発の上流から品質・性能を高精度に検証し、企画・設計・評価・判断をいすゞが主体的に担い、競争力ある電動車両の開発を推進する。
施設概要と環境配慮
施設の屋上および側壁には太陽光発電パネルを設置し、一部の空調設備に排熱回収システムを採用するなど、運営時の環境負荷低減にも配慮している。施設の概要は以下の通り。
- 名称:電動開発棟「The EARTH lab.」
- 建築面積:約5,900㎡、延べ床面積:約27,000㎡
- 高さ:約40m(地上5階建)
- 投資総額:約400億円
- 主な実験・評価設備:バッテリー、モーター、EVシステム、熱マネジメントの各実験・評価設備など
開所式でのトップコメント
6月29日には同施設で開所式が行われ、関係者が新拠点の稼働開始を祝った。いすゞ 常務執行役員 開発部門EVP 上田謙氏は次のようにあいさつした。
「The EARTH lab.は、いすゞの開発をこれからどのように進化させていくのか、その意思を形にした場所です。カーボンニュートラルへの対応、物流を支える人手不足の解消、安全や品質へのさらなる期待、お客さまの使われ方の多様化など、商用車メーカーに求められる役割はますます広がり、複雑になっています。The EARTH lab.を『挑戦の場』として活用し、ここから、いすゞらしい確かな品質と信頼、そして新しい価値や技術が生まれ、未来の社会とお客さまへの貢献につながっていくことを期待しています」
開所式では、取締役 専務執行役員 CTO 商品技術戦略部門EVP 藤森俊氏が玉串を奉てんした。
中期経営計画との連携
いすゞは中期経営計画「ISUZU Transformation - Growth to 2030(IX)」において、カーボンニュートラルソリューションを成長領域のひとつと位置付けている。同社は「The EARTH lab.を活用し、電動車開発基盤のさらなる強化を通じて、PURPOSE(使命)である『地球の"運ぶ"を創造する』実現に向けて取り組んでまいります」とコメントしている。



