GSユアサは電気自動車(EV)向けリチウムイオン電池の生産能力を2025年までに現在の3倍に増強する方針を明らかにした。北米市場を中心に急増する需要に対応するのが狙いで、米国工場への追加投資も検討している。
生産能力を3倍に拡大
同社は現在、リチウムイオン電池の生産能力を年産約1ギガワット時(GWh)としているが、これを2025年までに3GWhに引き上げる。増強の主な対象は、北米向けのEV用電池で、特に日系自動車メーカーからの受注増に対応する。GSユアサは、ホンダや日産自動車などに電池を供給している。
具体的には、滋賀県の工場で生産ラインを増設し、さらに米国ミシガン州の現地法人でも生産能力を拡大する。米国工場では、2024年中に新たな生産設備を導入し、2025年までに現在の2倍以上の生産能力を目指す。
北米市場の需要急増が背景
北米では、バイデン政権のEV推進政策やインフレ抑制法(IRA)による税優遇措置を背景に、EV需要が急拡大している。GSユアサの村田裕司社長は「北米市場は今後も成長が見込まれ、顧客からの要請も強い。生産能力の増強で需要に応えたい」と述べている。
また、同社は次世代電池の開発も加速する。全固体電池の実用化を2028年までに目指し、研究開発費を年間100億円規模に増やす計画だ。
財務への影響と課題
今回の生産増強に伴う投資額は非公表だが、複数のアナリストは数百億円規模と見積もる。GSユアサは2023年3月期の連結営業利益が前年比2倍の約200億円と好調だが、電池事業はまだ赤字が続いている。村田社長は「早期の黒字化を目指す」とし、量産効果によるコスト低減を図る。
一方、原材料の調達リスクも課題だ。リチウムやコバルトなど主要材料の価格高騰や供給不安が続いており、安定調達に向けた長期契約の締結やリサイクル技術の開発も進めている。
業界全体の動き
EV電池市場では、中国のCATLや韓国のLGエナジーソリューションが世界シェアの上位を占める中、日本の電池メーカーは巻き返しを図っている。パナソニックも北米向けに生産能力を増強しており、競争は激化している。GSユアサは、日系自動車メーカーとの強固な関係を武器に、差別化を図る方針だ。



