電気自動車(EV)への移行が世界的に加速する一方で、ガソリン車の部品ビジネスが急速に拡大している。一見矛盾するこの現象は、新興国での根強いガソリン車需要と、既存車両の修理・保守市場の拡大に支えられている。
新興国市場の存在感
東南アジアやアフリカなど新興国では、依然としてガソリン車が主流だ。充電インフラの未整備や価格の高さから、EV普及は遅れている。こうした地域では、ガソリン車の需要が今後も続くとみられ、部品メーカーにとって重要な市場となっている。
修理・保守市場の拡大
先進国でも、既存のガソリン車のストックは膨大だ。これらの車両は今後も修理や部品交換が必要であり、アフターマーケットは安定した収益源となる。特に、エンジンやトランスミッションなどの主要部品の需要は衰えていない。
大手部品メーカーは、EV向け部品への投資と並行して、ガソリン車部品のビジネスも強化。例えば、デンソーはエンジン関連部品の生産を継続しつつ、EV向け製品の開発を進める。この二正面作戦が、収益の安定化につながっている。
EVシフトの現実
EVシフトは確かに進んでいるが、ガソリン車がすぐに消えるわけではない。国際エネルギー機関(IEA)の予測によると、2030年時点でも世界の自動車販売の約7割はガソリン車など内燃機関車が占める見通しだ。このため、部品メーカーは両方の市場に対応する必要に迫られている。
さらに、ハイブリッド車(HV)の需要も高く、HVはエンジンとモーターの両方を搭載するため、ガソリン車部品の需要を下支えしている。トヨタ自動車などはHVのラインアップを拡充しており、関連部品の生産は引き続き活発だ。
部品メーカーの戦略
部品メーカー各社は、ガソリン車部品の事業を「金のなる木」と位置づけ、その収益をEV向けの研究開発に振り向ける戦略をとる。例えば、コンチネンタルは内燃機関向け部品の売上を維持しつつ、EV向けバッテリー管理システムなどに投資している。
しかし、長期的にはEVシフトが本格化するため、ガソリン車部品の市場は縮小に向かう。部品メーカーは、そのタイミングを見極めながら、事業のポートフォリオを変革する必要がある。
結論として、EVシフトの陰でガソリン車部品ビジネスは当面拡大を続けるが、それはあくまで過渡期の現象だ。部品メーカーは、現在の収益を将来への投資に変え、持続可能な成長を目指している。



