フランス政府は2023年9月18日、電気自動車(EV)の購入補助制度を2024年1月から大幅に変更すると発表した。新制度では、購入者の所得に応じて補助額を段階的に設定し、製造時の二酸化炭素(CO2)排出量が多い車両を補助対象から除外する。これにより、中国製EVの多くが補助対象外となる見通しだ。
新制度の詳細
現在、フランスではEV購入時に最大5,000ユーロ(約80万円)の補助金が支給されている。新制度では、世帯所得が1万4,089ユーロ以下の低所得層には最大7,000ユーロ、それ以上の所得層には最大5,000ユーロの補助金が支給される。また、車両価格が4万7,000ユーロ以下の車種に限定される。
さらに、製造工程を含むライフサイクル全体のCO2排出量を評価し、排出量の多い車両は補助対象から外れる。この基準により、石炭火力発電に依存する中国製EVは不利になるとみられる。フランスのブルーノ・ルメール経済・財務相は「補助金は納税者のお金だ。環境に優しい車に使うべきだ」と述べ、中国製EVを排除する意図を明確にした。
中国への対抗措置
欧州連合(EU)は中国製EVの流入に対抗するため、補助金の条件厳格化や関税引き上げを検討している。フランスの措置はその先駆けと位置づけられる。ルメール氏は「欧州の自動車産業を守る必要がある」と強調した。
フランスでは2023年上半期、EV販売台数が前年同期比で約50%増加したが、中国製EVのシェアも拡大している。新制度により、フランス国内のルノーやステランティスなど欧州メーカーの競争力が高まると期待される。
批判の声
一方で、消費者団体からは「低所得者向けの補助額増額は評価するが、車種選択の自由を制限するべきではない」との批判が出ている。また、中国製EVを販売する企業は「差別的な措置だ」と反発している。
フランス政府は、新制度がEUの競争法に違反しないと主張しているが、中国がWTOに提訴する可能性も指摘されている。



