2025年度から電気自動車(EV)購入補助金が打ち切られる見通しとなり、日本市場に大きな衝撃が走っている。経済産業省が2024年度補正予算で計上したEV補助金は約1000億円だが、翌年度以降の継続は不透明だ。これにより、EV普及の起爆剤が失われる可能性がある。
補助金打ち切りの背景と影響
政府はEV普及目標として、2035年までに新車販売の100%を電動車にする方針を掲げている。しかし、補助金打ち切りにより、価格が高いEVの販売が冷え込む恐れがある。日本自動車工業会の試算では、補助金なしの場合、EV販売台数は2024年度比で30%減少する可能性があるという。
「補助金がなくなれば、消費者がEVを選ぶインセンティブが大幅に減る」と業界関係者は指摘する。特に、軽自動車が主流の日本市場では、価格感応度が高く、補助金の有無が購買行動に直結する。
中国勢の攻勢と国内メーカーの苦境
一方、中国のEVメーカーは低価格戦略で日本市場への浸透を狙っている。比亜迪(BYD)は2024年に日本市場で約2000台を販売し、2025年には倍増を計画。また、上海汽車(SAIC)も日本参入を検討中だ。中国勢のEVは補助金なしでも200万円台から購入可能なモデルが多く、補助金打ち切り後は価格競争力がさらに際立つ。
国内メーカーは対応に追われる。トヨタは2026年に次世代EVを投入予定だが、価格は400万円以上と見込まれる。日産は軽EV「サクラ」の販売を強化するが、補助金なしでは販売が伸び悩む可能性が高い。
充電インフラの課題も
補助金打ち切りに加え、充電インフラの整備遅れも課題だ。日本国内の急速充電器は約3万基と、欧州の約30万基に比べて大幅に少ない。政府は2030年までに15万基を目標とするが、補助金削減で整備が停滞する懸念がある。
「充電インフラが不十分なまま補助金を打ち切れば、EV普及は頓挫する」と専門家は警告する。特に、集合住宅での充電設備設置が進まず、都市部以外でのEV普及が遅れる要因となっている。
今後の展望
政府は2025年度以降のEV政策について、補助金に代わる新たな支援策を検討中だ。例えば、EV購入時の税制優遇や、カーシェアリング事業者への補助などが候補に挙がる。しかし、予算規模は縮小される可能性が高く、EV市場の成長は鈍化するとの見方が強い。
「日本がEV後進国になるリスクがある」と自動車アナリストは警鐘を鳴らす。中国勢の攻勢に対抗するためには、国内メーカーの技術革新と政府の一貫した支援が不可欠だ。



