EVシフトで変わる自動車部品サプライチェーンの実態
EVシフトで変わる自動車部品サプライチェーンの実態

電気自動車(EV)へのシフトが加速する中、自動車部品メーカーのサプライチェーンが大きく変貌している。従来のエンジンやトランスミッションなどの部品需要が減少する一方、バッテリーやモーター、インバーターなど電動化に必要な部品の需要が急拡大。これに伴い、部品メーカー各社は生産体制の見直しや新たな技術開発を迫られている。

エンジン部品需要の減少と電動部品の拡大

日本自動車部品工業会の調査によると、2023年度の国内自動車部品出荷額は前年度比5%増の約12兆円となったが、内訳は大きく変化している。エンジン関連部品は前年比3%減となる一方、電動化関連部品は20%増と大きく伸びた。特に、リチウムイオンバッテリーの需要は前年比30%増と顕著な伸びを示している。

ある大手部品メーカーの幹部は「エンジン部品の受注は今後5年で半減する可能性がある。一方で、電動部品の受注は倍増する見込みだ。生産ラインの転換が急務だ」と語る。

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サプライチェーンの再編と地産地消の動き

EVシフトはサプライチェーンの地理的構造も変えている。従来、エンジンやトランスミッションなどの重量物は最終組立工場の近くで生産されることが多かったが、EVではバッテリーが主要な重量物となり、バッテリー工場の立地が重要になっている。

さらに、EV部品の多くは中国や東南アジアからの調達に依存しているが、地政学的リスクやサプライチェーンの途絶リスクを背景に、日本国内での生産を強化する動きも出ている。経済産業省の補助金制度を活用し、国内にバッテリー工場を新設する計画が複数発表されている。

中小部品メーカーの生き残り戦略

こうした変化は、特に中小部品メーカーにとって厳しいものとなっている。大手メーカーからの発注減少や、電動化対応のための設備投資負担が重くのしかかる。ある中小部品メーカーの社長は「エンジン部品だけでやってきたが、今後はEV部品にシフトしないと生き残れない。しかし、投資資金の調達が課題だ」と打ち明ける。

一方で、ニッチな技術を持つ中小企業が新たな取引先を開拓する動きも見られる。例えば、モーター用の磁性材料や、バッテリー冷却用の高効率ヒートシンクなど、EVの性能向上に寄与する部品を提供する企業が注目を集めている。

今後の展望と課題

EVシフトによるサプライチェーンの変革は、今後も加速すると予想される。日本政府は2035年までに新車販売のすべてを電動車にする目標を掲げており、これに伴い部品需要の構造変化はさらに進む見通しだ。

しかし、課題も多い。バッテリーの原材料であるリチウムやコバルトなどの資源確保、充電インフラの整備、そして電動車の製造工程におけるカーボンフットプリントの削減など、サプライチェーン全体での対応が求められる。自動車部品業界は、かつてない変革の時期を迎えている。

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