電気自動車(EV)へのシフトが加速する中、自動車部品サプライヤーはかつてない存続の危機に直面している。エンジンやトランスミッションなどの従来型部品の需要が急減し、多くの中小部品メーカーが事業の根本的な見直しを迫られている。
エンジン部品の需要激減がサプライヤーを直撃
EVはエンジンを持たないため、ピストン、シリンダーヘッド、燃料噴射装置など、内燃機関に不可欠な部品の需要がゼロになる。さらに、トランスミッションも簡素化され、部品点数はガソリン車の約3万点からEVでは約2万点に減少するとされる。この部品点数の減少は、サプライヤーの受注減少に直結する。
ある部品メーカーの幹部は「エンジン関連の売上高が全体の7割を占めていたが、EVシフトでそのほとんどが不要になる。新しい事業を育てる時間的余裕もない」と危機感をあらわにする。
価格競争の激化と生き残り戦略
EV向け部品は、モーターやインバーター、バッテリーなどに集中するが、これらの分野はすでに大手電機メーカーや新興企業が先行しており、価格競争が激しい。従来の自動車部品サプライヤーが参入するには、技術面・コスト面で大きなハードルがある。
業界アナリストは「部品サプライヤーの数は今後10年で現在の3分の1に減少する可能性がある。生き残るためには、特定のEV部品に特化するか、他社との提携・統合を進める必要がある」と指摘する。
地域経済への影響も深刻
自動車部品サプライヤーは全国各地に所在し、特に愛知県、静岡県、岐阜県など中部地方に集中している。これらの企業が相次いで事業縮小や廃業に追い込まれれば、雇用喪失や地域経済の衰退は避けられない。
ある地方自治体の担当者は「地元の雇用を支えてきた部品メーカーが次々と苦境に立たされている。自治体としても支援策を検討しているが、抜本的な解決策は見えない」と語る。
政府の支援と業界の取り組み
経済産業省は、サプライヤーの事業転換を支援するための補助金制度を設けているが、応募企業の数は限定的だ。専門家は「補助金の情報が行き渡っていないことに加え、新しい事業の見通しが立たない中小企業が多い」と課題を挙げる。
一方で、業界団体はサプライヤー同士の連携を促し、EV部品の共同開発や生産効率化を進める動きもある。しかし、時間との闘いであり、早期の行動が求められている。



