EVシフト加速で日本メーカー部品調達に地殻変動、中国依存リスク高まる
EVシフトで日本メーカー部品調達に地殻変動、中国依存リスク

電気自動車(EV)への移行が加速する中、トヨタ自動車をはじめとする日本メーカーは、部品調達網の抜本的な見直しを迫られている。従来のエンジン車とは異なる部品構成が必要となり、特にバッテリーやモーターなどの核心部品で中国企業への依存度が急速に高まっている。この構造変化は、日本の自動車産業に新たな地政学リスクとコスト増をもたらす可能性がある。

EVに不可欠な部品と中国の存在感

EVには、リチウムイオン電池、駆動用モーター、インバーター、パワーコントロールユニットなど、ガソリン車にはなかった部品が多数必要となる。これらの部品の多くは、中国企業が世界市場で高いシェアを誇っている。例えば、車載用リチウムイオン電池では、中国のCATL(寧徳時代新能源科技)とBYD(比亜迪)で世界シェアの約半分を占める。また、モーター用の希土類磁石も中国が世界生産の9割以上を握る。

日本メーカーは従来、エンジンやトランスミッションなどの内製化や系列部品メーカーからの調達で強みを発揮してきた。しかし、EVではこれらの部品が不要になるか、重要性が低下する。代わって、電動化に特化した部品の調達が不可欠となり、日本メーカーは新たなサプライチェーン構築を迫られている。

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トヨタの戦略転換と調達先の多様化

トヨタは長年、ハイブリッド車(HV)を軸とした戦略を採ってきたが、2023年にはEV専用プラットフォームを発表し、本格的なEVシフトに舵を切った。同社はEV向け電池の調達先として、CATLやBYDとの提携を強化。2026年までにEV販売を年間150万台に引き上げる目標を掲げる。ただ、こうした中国企業への依存は、地政学的緊張の高まりや、輸出規制などのリスクをはらむ。

日本政府も、経済安全保障の観点から、重要鉱物のサプライチェーン強化に乗り出した。経済産業省は、電池の国内生産拠点整備に補助金を交付するなど、中国依存からの脱却を促している。しかし、短期間で代替サプライチェーンを構築するのは容易ではない。

部品調達コストの上昇と競争力への影響

EVシフトは、部品調達コストの上昇も招いている。従来のエンジン車に比べ、EVは部品点数が少ない一方、バッテリーなどの高価格部品にコストが集中する。また、中国からの調達に頼る場合、地政学リスクに加え、物流費の高騰や為替変動の影響も受けやすい。

日本メーカーは、部品の内製化や、北米・欧州での現地調達を進めることで、リスク分散を図っている。例えば、日産自動車は、米国でEV用バッテリーの生産を計画。ホンダも、GMとの協業を通じて、北米でのバッテリー調達を強化する。ただ、これらの取り組みが軌道に乗るまでには、数年単位の時間がかかるとみられる。

系列部品メーカーの生き残り戦略

エンジン部品を中心に成長してきた日本の自動車部品メーカーも、EVシフトへの対応を迫られている。デンソーやアイシンなどの大手は、電動化ユニットの開発を加速。一方、中小部品メーカーは、EV向け部品への転換や、他産業への事業多角化を模索している。

業界関係者は、「日本の部品メーカーが持つ高品質・高信頼性の技術は、EVでも強みになる。しかし、価格競争力で中国企業に劣る面があり、生き残りにはコスト削減と技術革新の両立が不可欠」と指摘する。

日本メーカーのEVシフトは、単なる駆動方式の転換ではなく、サプライチェーンの地殻変動を伴う。部品調達の中国依存リスクとどう向き合い、競争力を維持するか。日本の自動車産業の未来を左右する重要な課題となっている。

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